2025.12.05 大陽日酸など3社、アルミニウム溶解プロセス向け酸素富化燃焼技術で、CO2排出量を従来の空気燃焼に比べ最大24.1%削減を実証

 日本酸素ホールディングスグループの大陽日酸、日本軽金属、日軽エムシーアルミ(東京都港区)の3社は、酸素富化燃焼技術を適用したアルミニウム溶解プロセスで、二酸化炭素(CO₂)排出量を通常の空気燃焼と比較して最大24.1%削減することを共同で実証した。

 2050年カーボンニュートラル実現に向け、国内に約3万7000基存在するとされる工業炉からのGHG(温室効果ガス)排出削減が急務となっている。このため、3社は酸素富化燃焼技術に着目し、共同でアルミニウム二次合金用溶解炉での実証試験を実施した。酸素富化燃焼技術は、燃焼に使用する空気に酸素を富化することで排ガスによる熱損失を低減し、熱効率の向上とCO₂排出量を削減する技術。

 実証試験では、日軽エムシーアルミの商用アルミニウム溶解炉に酸素ランス方式を用いた酸素富化燃焼技術を適用し、酸素濃度が約40%までの条件で溶解試験を実施した結果、従来の空気燃焼と比べ最大24.1%のCO₂排出量削減を達成し、省エネルギーとカーボンオフセットにメリットがあることを確認した。酸素リッチな雰囲気に伴いトレードオフの関係となるNOx排出などの環境への影響や製品品質・歩留まり(良品の割合)、操業面や設備への影響がないことを確認した。

 今回の実証試験では、酸素富化濃度や酸素投入位置を最適化することで、さらに高効率なアルミニウム溶解実現の可能性を確認した。

 実証試験で大陽日酸は、実証試験計画立案や酸素富化燃焼装置設計、数値流体解析、酸素供給を担当。日本軽金属は、実証試験計画支援や溶解炉周辺設備改造支援、アルミニウム溶解に関する知見を提供。日軽エムシーアルミは、実証試験場所の提供や実証試験計画支援、操業・製品検証を担った。3社は、今回の実証試験での成果をもとに、今後もアルミニウム製造でのGHG排出削減への取り組みを推進する。