2026.01.22 【情報通信総合特集】DX投資「成果」重視へ転換 Win11更新が市場下支え 29社インタビューで潮流浮き彫り

生成AIの進展の一方で、セキュリティーやネットワークなどの基盤整備も重要な課題だ(写真はNECが昨年立ち上げた「サイバーインテリジェンス&オペレーションセンター」)

 情報通信関連市場は2026年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が底堅く推移する見通しだ。電波新聞社が情報通信企業29社を対象に行ったトップインタビューを読み解くと、投資の焦点は「導入」から「成果」へ転換し、実装力と運用力が競争軸として浮上している。Windows11移行需要が市場の下支えとなる一方、各社は更新需要の単発取り込みにとどまらず、継続収益化や基盤強化、現場課題解決型の提案へかじを切る。生成AI(人工知能)の進展も背景に、DX投資の成果が結果として求められる局面に入った。

投資は「導入」から「成果」へ
 国内ICT(情報通信技術)市場は、外部環境の不透明感を抱えつつも、企業のデジタル投資意欲は高い水準を維持している。今回の29社トップインタビューからは、DXが「導入したかどうか」ではなく、「成果を出せたかどうか」で評価される段階に入ったことが明らかになった。各社は、標準化や刷新を軸に、上流から運用まで一貫で支えるモデルへ移行しつつある。三菱電機は業務の生成AI置き換えを視野に、全社横断で改革を進める。

OS更新が下支え、需要連鎖も
 市場下支えの要因として大きかったのがWindows11の更新需要だ。パソコン(PC)更新や周辺投資を足がかりに、セキュリティーや運用、クラウド移行まで含めた需要が連鎖している。大塚商会はWindows11更新需要を入り口にストック型で継続収益化を図る。Dynabookは法人向けノートPC市場での強みを生かし、継続的な成長を狙う。リコーはオフィスサービスを軸に、AI活用を“武器”として組み込む。東芝テックもリテール領域でプラットフォームを強化し、データ起点の高度化を図る。

現場起点の実装力が差に
 成果重視のDXでは、現場起点のアプローチが重要性を増す。MODEは定型業務を着実に回すAIワークフローで価値創出を狙う。OSKは基幹と情報系を統合する業務パッケージを武器に、業務全体の最適化を支える。BIPROGYはデータによる生活者起点の需要創出を掲げ、リテール領域の強化を進める。

 電通総研は製造業を中心に、変革を支える“イネーブラー”の立場で支援を強める。NECソリューションイノベータは自治体・民間のDX案件を背景に高稼働が続き、金融モダナイゼーションなど基幹領域の刷新需要も取り込む。NECネクサソリューションズは中堅中小の基盤改革需要を捉え、実装フェーズでの提案を拡充する。

運用・保守と基盤強化が主戦場
 一方、DXの成果を左右する領域として、ネットワーク、運用・保守、セキュリティーといった基盤分野の存在感が高まっている。NECネッツエスアイはAI活用を見据えたインフラ整備を進め、企業の導入モデル化を狙う。Coltテクノロジーサービスは高速ネットワークとデータセンター(DC)接続を武器に、西日本を含む展開を強める。

 東芝デジタルソリューションズは製造業など産業領域のDXを支え、基盤強化とデータ活用を軸に提案を拡充する。東芝情報システムはものづくり領域のIT高度化を支え、東芝ITサービスは全国拠点を生かした運用・保守とセキュリティー運用の強化を進める。OKIクロステックはフィールド体制を強みに、他社機器や医療機器保守にも領域を拡大する。パーソルコミュニケーションサービスはCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)・DXの両面で支援を進め、現場運用に根差したサービス価値を磨く。

公共・社会分野は「標準化」軸に
 公共・社会分野でも実装型需要が高まる。内田洋行は自治体標準化や教育DXを追い風に、教育データ活用の提案を強める。アイティフォーは地域金融機関や自治体向けの業務システムを軸に、周辺業務のデジタル化や運用支援を含めた展開を図る。エプソン販売は法人向け体験拠点を通じ、共創型でのソリューション提供を図る。日立ソリューションズはSX(サステナビリティー・トランスフォーメーション)を掲げ、上流機能を強化する。日立ソリューションズ・クリエイトは生成AIを社内外で活用し、業務改善や運用支援へ広げる。

 NECプラットフォームズは防衛・宇宙領域を含む重点分野を強化する。NSWは戦略投資と標準化でDX推進を加速し、キヤノンマーケティングジャパンはITソリューションを軸に構造転換とサービス拡大を図る。サンテレホンはDC・半導体領域を含む提案を強め、アイコムはBCP需要に加え、新サービスでのストック収益化を視野に入れる。日本事務器も現場課題に寄り添った提案力を磨く。

 IDC Japanは2026年の国内IT市場規模を前年比2.3%増の28兆1074億円と見込み、2024~29年の年間平均成長率(CAGR)を5.9%と予測する。生成AIの進展で運用・保守、ネットワーク、セキュリティーといった基盤領域の重要性は今後さらに増すことになりそうだ。