2026.02.16 【寄稿】長L形アルミ電解コンデンサの最新技術動向

長L形アルミ電解コンデンサ

図2(イメージ図)図2(イメージ図)

はじめに

 生成AIの急速な普及を背景に、AIサーバー市場が北米やアジア地域を中心に世界的に拡大している。大規模言語モデル(LLM)や画像生成AIの学習、推論には膨大な演算能力が求められ、GPUを多数搭載した高性能サーバーの導入が進んでいる。AIサーバーの出荷台数は今後も大きく増え、データセンターの設備投資は過去に例を見ないペースで増加するとみられている。

 AIサーバーの特徴として、一般的な汎用サーバーと比べて消費電力が大きく(図1)、GPUの負荷変動に伴う瞬間的な電流変動も激しく、電源回路には電力の安定供給が強く求められる。こうした背景から、電源搭載部品、とりわけアルミ電解コンデンサの性能がサーバー全体の安定稼働に影響する要素として注目されており、特に電源ラインの平滑化を担う電源入力用コンデンサの性能向上は、AIサーバーの高負荷運用において重要性を増している。

 以下、AIサーバー用途を主用途とする当社の長L形アルミ電解コンデンサを紹介する。

要求性能

 AIサーバー用電源入力コンデンサには、単器で大容量を提供できる基板自立形アルミ電解コンデンサが使用されているが、昨今のAIサーバーの高性能化・消費電力増大に伴い、静電容量の高容量化が求められている。

 一般的にコンデンサの高容量化にはサイズ増加を伴うが、AIサーバー用電源はサーバーラック規格の限られたスペース、特に高さに制約があり、限られたスペースにコンデンサを搭載する方法として、大容量を収容した長L形アルミ電解コンデンサ(φ30/35においてL60~100mm)を基板上に横置きに実装する手法が採用されている(図2)。

開発品紹介

 長L形アルミ電解コンデンサは、AIサーバー向け電源の高性能化に応える製品として当社は注力して開発を進めている。最大の特徴は、限られた製品寸法に高容量を収容するため、高倍率(陽極箔〈はく〉投影面積に対して拡面された実表面積比率)の新陽極箔を採用する。新たに採用した陽極箔は高倍率化とのトレードオフで機械強度が低いため、製品使用幅に裁断する「スリット技術」の改良、外部引き出し用のアルミリード板を冷間圧接する「加締技術」の改良、同一素子外形寸法(直径×長さ)で陽極箔を最大収納するため、薄手化したセパレータや陰極箔含めた低強度部材の「巻回技術」を改良して採用している。さらに、長L形に特有の課題として、素子内へ電解液を均一に浸透させる「含浸技術」など、さまざまな生産技術(図3の★印)を新たに採用することで、同一製品サイズの従来品と比較して20%以上の高容量化を実現、業界トップクラスの性能を実現している(表1)。

今後について

 高性能AIサーバー用電源の特徴として、多数のGPUが演算負荷に応じて瞬時に大電流が流れ、コンデンサの充放電時の電圧変動(ΔV)が増加傾向にある。当社は独自の充放電対応技術を保有し、長年蓄積してきた充放電評価データに基づいて、安全にご使用いただける製品提案が可能である点が当社の強みである。今後もAIサーバーの高容量化に伴い、高容量製品の需要は増加すると見込まれており、長L品の生産能力についても順次増加させていく予定である。

〈筆者=ニチコン〉