2026.02.16 UHF帯RFID新国際規格「ISO/IEC 18000-65」が承認・発行 電池交換不要センサーによる無線センシング実現
慶應義塾大学とデンソーウェーブ、RAMXEED、パナソニック ホールディングスが中心となり、日本から提案を行っていたUHF帯RFID(無線周波数識別)の無線通信に関する新規格が、2026年2月に国際標準規格「ISO/IEC 18000-65」として正式に承認・発行された。
同規格は、バッテリーなしで駆動するセンサー端末からデータを連続的かつ高速に取得(ストリーミング)することを可能にする技術。
従来のRFIDでは、複数の無線端末が時間分割して読取装置にデータを発信する仕組みとなっていた。新規格では、それぞれの無線端末に独自の周波数チャネルを割り当て、時間連続・並行のデータ発信を実現している。
RFIDでは後方散乱通信という、電波の反射による通信方式を用いることで、極低消費電力(10 µW程度)の無線通信を実現するが、これまで後方散乱通信で周波数チャネルを無線端末ごとに割り当て、さまざまなセンサーの設定や制御を実施する国際標準無線通信プロトコルは存在しなかった。
新国際標準は、920 MHz帯RFIDで広く用いられているISO/IEC 18000-63を利用しながら、ワンショットでのデータ取得に加え時間連続データを扱うための周波数チャンネル割り当て、データ取得開始・停止の手順とデータ構造などを定めている。
無線通信プロトコルの工夫により、さまざまなセンサーやアナログデジタルコンバータを電池なし無線通信システムに取り込むこともできる。
この国際標準を用いることで、メーカーやベンダーが異なる読取装置とセンサー端末の相互接続が可能となり、多様な電池なし無線センサーシステムの開発、ベンダーロックインの回避、システム調達コストの低減が期待される。
同標準は、23年5月に日本発の新提案(New Work Item)としてISO/IEC SC31 WG3に標準化提案、24年2月に慶應義塾大学環境情報学部の三次仁教授をプロジェクトリーダーとして標準化活動が承認され、25年10月に始まったFinal Draft International Standard(FDIS)投票を経て、26年2月に承認された。総務省の「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」によって実施した研究開発成果も含まれている。
今後は、25年度に採択された総務省「Ambient IoT システム高度化のための周波数有効利用技術に関する研究開発」において技術のさらなる高度化を進める。
また、同規格を用いた読取装置や端末の実用化に向けた各種実証実験を、慶應義塾大学SFC研究所に設置されている「Ambient IoT通信研究コンソーシアム」メンバーと協力して企画・推進する。
電池なし無線センサーシステム(接点制御などのアクチュエーションを含む)は、機械装置やインフラ点検分野で大きな注目を集めている。
従来、高所や斜面などのインフラ点検は目視に頼り、高コストな足場や特殊設備が必要だった。
ICTを活用した計測やデータ利活用による点検のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速するなか、センサーによる客観データ活用は、メンテナンス技術者の不足に対応する有効な手段でもある。
インフラや機械設備の故障・不具合が運用停止や生産停止に直結するため、予知保全への期待も高まっている。









