2026.07.06 【電子部品技術総合特集】Vicor・水谷豊シニアアプリケーションエンジニア 高電圧・低電流化、低電圧・大電流化に対応

独自技術で小型・高電力密度電源を開発

 Vicorは、米国マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。独自の技術力を生かした電源モジュールの開発・製造・販売を行っており、①航空宇宙・防衛②インダストリアル③コンピューティング&コミュニケーション④オートモーティブ──の4事業部門体制で幅広い市場に対応している。

 日本法人や欧州オフィスなど世界各国の拠点が顧客ニーズを把握し、開発部門をはじめとする各関連部門と連携し、各市場の要求に応える製品をいち早く市場に供給している。

 現在の電源市場での大きな開発テーマは「高電圧・低電流化」と「低電圧・大電流化」。自動車、データセンター、産業用ロボットなどの分野では、送電損失を抑えるため、電圧は400~800Vと高くなっており、高電圧・低電流化に対応した電源が求められる。消費電力が大きいGPU(画像処理半導体)などのAI(人工知能)アクセラレーターでは、半導体のプロセスノードの微細化に伴い動作電圧は低下している。

 一方で演算性能向上により消費電力は増加しており、結果として低電圧で大電流の電源が求められる。日本法人で開発案件に携わる水谷豊シニアアプリケーションエンジニアは「高電圧・低電流化」と「低電圧・大電流化」の両方に対応できる電源メーカーは少なく、「独自技術を持つ当社だからこそ開発できる」と話す。

 同社は電源に関するさまざまな独自の技術を保有している。その一つが「SAC(Sine Amplitude Converter)技術」。電圧を400Vから48Vに降圧する場合、通常は段階的に降圧することが多いが、SAC技術を用いることにより1回で降圧することができる。変圧のたびに生じる損失を減らし、超高効率の電源を実現する。高効率・高電力密度の電源は、小型化にもつながる。損失を極限まで減らすことで発熱も少なくなり、モジュールの小型化が可能となる。

 同社では売り上げの18%程度を研究開発費に充て、各市場や顧客の要求に応じた開発を進めている。

 今後も顧客の技術革新を支えるパートナーとして、次世代技術の開発に取り組む。