2026.07.18 日立と南海電鉄、疑似量子コンピューター技術で鉄道の運用計画を自動作成 27年度稼働へ

鉄道の運用計画を自動で作成・評価するシステムのイメージ

従来の乗務員運用計画の作成の様子従来の乗務員運用計画の作成の様子

 日立製作所と南海電気鉄道は、量子コンピューターを疑似的に再現する日立の独自技術「CMOSアニーリング」を活用し、鉄道の乗務員運用計画と車両運用計画を自動で作成・評価するシステムの構築を進めると発表した。計画作成業務を効率化するニーズに応え、2027年度中の稼働開始を目指す。

 CMOSアニーリングは、多くの制約条件を同時に考慮しながら、最適な組み合わせを短時間で導き出すことを得意とする。両社は同技術を活用し、大規模で複雑な運用計画を高速・高精度に自動作成するシステムを実現する。システムはクラウド型のため、稼働開始後も運用状況や業務の変化に応じた機能の拡張が可能だ。

 2025年度に南海線でシステムの効果を検証した結果、乗務員運用計画では、手作業で従来数カ月かかっていた作成業務を約1週間に短縮できることを確認した。車両運用計画では、従来約20日間かかっていた作成業務を、システムの活用により数日程度に短縮できることを確かめた。

 南海電鉄は、大阪市の難波を起点に関西国際空港や和歌山市などを結ぶ鉄道路線を運営する。両社は、対象線区を南海線・空港線と高野線・泉北線へ拡大し、27年度以降のダイヤ改正から業務プロセスを見直すことを前提にシステムの構築を進める。

 乗務員運用計画は、1日当たり数百本の列車に乗務する運転士や車掌の配置を決める業務。労働時間や休憩時間など多くの制約条件を考慮しながら乗務行路を作成する必要があり、その多くは手作業に依存している。車両運用計画も、列車ダイヤに基づいて車両の割り当てなどを決定する高度な業務で、考慮する条件が多岐にわたる。

 鉄道業界では、人材不足や専門業務を担う後継者の育成といった課題を抱えており、経験豊富な担当者に支えられてきた計画作成業務を将来にわたって安定的に遂行できる環境の整備が求められている。