2020.07.30 【電子部品技術総合特集】アルプスアルパイン笹尾泰夫取締役常務執行役員CTO

笹尾 常務

旧2社の統合でシナジー発揮

 アルプスアルパインは、持続的成長に向けた研究開発を推進している。旧2社の統合シナジーを発揮し、自動車やEHII(新市場)などをターゲットに様々な技術開発を推進する。

 統合後の技術本部はグローバルで約5000人(うち国内約3000人)体制に拡大した。各BUが各顧客向け開発を行い、コーポレートの開発部門は少し先を見据えた研究開発を行う。

 笹尾泰夫取締役常務執行役員CTOは「経営統合で技術本部は一つの組織となり、優先順位選定や整合性などが図れるようになってきた。旧2社のエッセンスを取り入れながら技術開発を進めている」と話す。

 研究開発の考え方では、「当社はノーベル賞を狙うような基礎研究は行わず、産官学や公的研究機関等の研究成果をいかに社会実装するかが研究開発の方向性。コーポレートの研究開発部門では素材に近い分野や次世代ディスプレイなどのテーマに取り組んでおり、4-5年先を見据えた開発を進めている」(笹尾CTO)と説明する。

 同社は開発プロセスを各ステージに分けてゲート管理を行い、営業や生産技術も巻き込みながらコンカレントプロセスマネジメントを推進している。

 新型コロナの開発業務への影響について笹尾CTOは、「当初は在宅での業務は困難と考えたが、技術本部の国内全社員へのアンケートでは、予想以上に『効率良く業務ができている』との回答を得た。試作など出社が必須の業務もあるが、全体では順調。まったく新しいことを作る際は、やはり皆が集まり意見を出し合うことで化学反応が生まれると考えているが、今後2-3年はコロナとともに生きていかないといけない。ITを駆使してハイブリッドで業務を進める。そしてポストコロナの開発はどうあるべきかを議論している」と話す。

 アライアンスや産学連携にも積極的に取り組んでいる。

 「成長シナリオを考える上で、アルパインはもともと10年先の会社価値などを議論する文化があった。現在は我々も共に30年のあるべき姿を考え、そこを起点に現在とのギャップを埋める議論を行っている。不足技術の仕分けを行い、非競争領域技術はアライアンスやM&Aを活用する」(笹尾CTO)。

 分野別では、車載では「デジタルキャビン」の新コンセプトを打ち出した。新型コロナ対応としてタッチレス操作パネルの提案も進める。