2020.10.01 【自動車用部品および関連技術特集】 自動車用部品、活発な技術開発車の電子化・電動化に対応、5Gの適用など

次世代デジタルキャビンのデモ(アルプスアルパイン)

ADAS音声出力システム向け車載音声合成LSI(ラピスセミコンダクタ)ADAS音声出力システム向け車載音声合成LSI(ラピスセミコンダクタ)

 車の電子化・電動化に向けた自動車用電子部品の技術開発が進んでいる。電子部品メーカー各社は『CASE』や『MaaS』などをキーワードとした車の技術進化に照準を合わせたR&Dを加速させている。次世代移動通信規格5Gの車載適用に向けた先行開発にも力が注がれる。

 現在の自動車市場は、「100年に1度」とされる大きな変革期を迎えている。電子部品各社は、こうした車の技術変化や業界構造の変革に照準を合わせ、将来ニーズを先取りした部品の先行開発を進めることで、次期スタンダードの獲得を目指す。

ADAS/自動運転関連部品技術

 世界の自動車業界では、欧米系や日系メーカーを中心に、自動運転車(自動走行レベル3以上)の本格実用化に向けた開発が急ピッチで進んでいる。

 自動運転の実現には、信頼性の高い通信機能や高精度な物体認識、高度な車両制御、AIを含む情報処理、セーフティ技術、3次元地図データ、エッジコンピューティングなど様々な技術の融合が必須。部品各社はこれらの実現へ、センサーや通信デバイス、撮像系部品、大容量高速伝送部品など様々な高性能部品の開発を活発化させている。

 安全系では、ミリ波レーダーや車車間/路車間通信用のV2X無線モジュール、LiDAR(ライダー)、カメラ部品などの開発が進められている。

 車載LiDARは、先行して開発が進んでいた機械式に加えて、最近は小型化やコスト性で優位なMEMS式の開発・サンプル展開も進んでいる。

xEV用部品技術

 EV/PHVなどの電動車用では、1充電あたりの航続距離増大や電費向上に向け、車載リチウムイオン電池(LIB)や電気二重層キャパシタ、LICなどの蓄電デバイスの開発が進展。インバータやコンバータ、駆動モーターまわり向けに高電流・高耐圧対応部品の開発が進められている。

 EVは、航続距離を延ばすため、車体軽量化が求められ、通常のガソリン車と比較し搭載部品への軽量化要求が極めて強い。こうしたニーズを満たすため、車載用電子部品・モジュールやケーブルハーネスなどの軽量化技術も追求されている。

次世代入出力デバイス

 ドライバーの安全性や快適性向上に向け、ドライバーが前方から視線を逸らすことなしに操作できる車載用入出力デバイスの開発が進んでいる。具体的には、音声認識デバイスや、ドライバーの手の動きを検知するジェスチャコントロールシステム、振動によりドライバーに危険を告知するフォースフィードバックデバイスなどがある。

 車載用タッチパネルは、ADAS/自動運転技術の高度化に伴う車内情報通信の大容量化に伴い、今後は車載純正タッチパネルの大画面化がより顕著になる見通しで、10インチあるいは12インチ以上の画面サイズをターゲットに、低抵抗技術の追求などが図られている。曲面ディスプレイに対応可能な製品開発にも力が注がれる。

高耐熱部品技術

 車載用部品開発では、高耐熱性能が重要視される。特にエンジンルーム内に搭載される部品は、厳しい高温環境での長期間使用に耐える優れた耐環境性能を有する部品開発に力が注がれている。モーターは、エンジンルーム内の各種バルブやポンプの電子制御化の動きに対応し、150度の温度環境に対応できる高耐熱モーター開発が進展。コンデンサはインダクタなどの回路部品でも、150度耐熱などに向けた製品が開発されている。コネクタも、125度対応の車載FPC/FFCコネクタなどをリリースするメーカーが増加している。