2021.03.26 【中国拠点特集】岡谷電機産業現地ローカル顧客へスペックインを活発化

秋田 総経理

 岡谷電機産業は、中国では白物家電や産業機器向けの電子部品を中心に実績を拡大している。特に近年は産機系の成長期待分野の開拓に注力し、現地ローカル顧客へのスペックインを活発化させている。

 同社の中国営業拠点は、香港の岡谷香港貿易有限公司を中心に、上海と深圳に駐在員事務所を展開。東莞市ではフィルムコンデンサ工場を稼働している。

 上海地区では、白物家電向けの拡大に加え、近年は産機向けビジネスを強化し、スマートメータやロボット、エレベータ、電源などの分野向けに、フィルムコンデンサやサージアブソーバ、ノイズフィルタなどの拡販を推進。顧客先別では、日系顧客の日本スペックイン製品の着実な刈り取りとともに、中国ローカルの産機やエアコンメーカーなどへの現地スペックインに注力し、「20年度(21年3月期)は初めて売上に占める現地ローカル顧客比率が30%を超える見通し」(上海駐在員事務所の秋田和則総経理)。

 上海駐在員事務所は、日系や中国系の代理店とも連携し、華東をはじめ、華北・東北、武漢、四川省など広大なエリアをカバーする。

 20年度は新型コロナの影響で4-6月は大きく落ち込んだが、7月以降盛り返し、特に12月以降は極めて高水準の受注が継続している。「20年度通期の売上げは約4%減の見通しだが、20年度通期受注額は約20%増となる見込み。特に12月から今年3月までは過去最高の受注額となる見通し。東莞とスリランカの工場でフル生産で対応している」(秋田総経理)。受注増の背景について秋田総経理は、「コロナ禍を機に、顧客が先々の発注を増やしていることや在庫の設定金額基準を長期にしていること、新能源政策でのEVへの助成金が需給に影響し、部品不足を引き起こしている」と説明。「こうした市況の追い風に加え、ローカル新規顧客へのスペックインにより、21年度も積極的な拡大を目指す」と話す。

 ローカル顧客開拓では代理店などと連携したキット販売にも力を注ぐ。品質面ではCCC認証やCR認証などへの万全な対策をとっている。21年度は、「環境対応や顧客動向の変化への的確な対応を重視する」(秋田総経理)とし、中国エアコン省エネ規制などを追い風にしていく。