2021.04.19 JUKIがキャステムと業務提携真空溶解やMIMなど得意技術で相互補完
貫井カンパニー長
JUKIはグループ事業強化の一環として、キャステム(広島県福山市、戸田拓夫社長)と業務提携した。精密鋳造事業をはじめ、加工、組み立て、エンジニアリングの分野で両社の技術力、企画力を融合した事業拡大、新規事業創出に向けた協業を開始した。
JUKIは、JUKI産機テクノロジー(秋田県横手市)、JUKI金属(三重県大台町、鋳鉄製造)、JUKI会津(福島県喜多方市、精密鋳造)、鈴民精密工業所(新潟県長岡市、部品加工)、JUKI松江(松江市、ユニット設計、工業ミシン製造)、JUKI広島(広島県三次市、プレス、金型製造)、JUKI大田原工場(栃木県大田原市、機械加工)、JUKIベトナム(ホーチミン市、精密加工)のグループ製造企業を擁している。
グループ各社は、自社の産業装置、縫製機器の部品加工・製造を行うほか、精密加工・板金加工・素形材製造・組み立てなど、それぞれが得意とするさまざまな技術を生かして、外部企業からの受託生産を行い、「開発・設計から部材・部品調達まで含めたワンストップ受託」で事業の拡大に取り組んでいる。
協業先のキャステムは、1970年2月設立のロストワックス製法、MIM(金属粉末射出成形)による精密鋳造部品の製造・販売を行っている。
JUKIコーポレートオフィサー・貫井邦夫グループ事業カンパニー長は「当社はJUKI会津おいて真空溶解炉でチタンやコバルトなど素材の加工もできる。キャステムはMIMの成形技術がある。また、当社は多品種少量生産が主だが、キャステムは量産技術を擁している。お互いに得意な技術や製造プロセスを補完、活用することで相互に事業を拡大する。当社はグループ事業を縫製、産業装置に次ぐ第3の柱に拡大しようと取り組んでおり、今回の協業はグループのワンストップ受託の幅をさらに広げることにつながる」と話す。
協業により今後、両社が保有する精密鋳造事業を基盤として、キャステムグループの高い企画力・営業力とJUKIグループの組み立て・エンジニアリング技術力を融合することで、顧客ニーズや課題の解決に幅広く対応し、顧客サービス力の向上を狙う。
両社の強みを生かして生産能力補完、生産設備補完体制の構築を図り、相互の企業価値の向上、顧客・取引の拡大を加速し、事業拡大や新規事業の創出を目指す。
具体的には各種開発、組み立て、加工などとの複合受注案件、MIM、鋳物、鍛造などの受注案件など、顧客の要望に対して、両社がそれぞれに保有する製造領域・製造技術や両社とそのグループ会社を活用し、相互に機能補完することでワンストップで提供、ソリューション力を強化する。
技術面についてもロストワックス精密鋳造の工法、高精度MIMの研究などにより、顧客のニーズに応えた将来性のある新技術の研究や開発を共同で行う。また、技術交流を継続的に行って両社の製造技術の向上を図り、顧客ニーズへの対応力を強化する。