2021.11.09 東京ガス、都市ガス機器でCCU商業施設のCO₂を回収し肥料の原料に変換
オンサイトCCUのイメージ図
東京ガスは、都市ガスを供給する商業施設などに設置したガス機器から排出される二酸化炭素(CO₂)を回収し、洗剤や肥料など工業製品の原料を製造できる技術を開発した。脱炭素化に向けたCCU(CO₂の回収、利用)技術の一つで、顧客先でCO₂を資源化できることから「オンサイトCCU技術」と呼ばれる。商用化に向けて検討を進める。
発電所などへ導入するたに大規模設備の実用化が進むCCUとは異なり、今回の技術は「狭いスペースにも設置できる点がミソ」(東京ガス広報部)。CCUを生活の身近に普及させる可能性が広がっていく技術だ。
ガス機器では、都市ガスを燃焼する際に出る排ガスにCO₂が含まれる。このCO₂を集めて炭酸カリウムなどを製造できるカナダのCleanO2(クリーンオーツー)社製の「二酸化炭素回収装置」を活用する。
同社は2013年に創立されたベンチャー。同装置を開発し、回収した製造物を製品化、販売する一連の工程を手掛けている。装置は既に北米で導入実績があるが、国内への導入は初めてとなる。
ただ、日本ではガス機器の排ガスの性質や、湿度の高さなど空気環境が北米とは異なる。そのため、東京ガスがCleanO2社と共同検討や実験などを重ね、国内でも転用できる技術を確立した。
一定量のCO2が排出される商業施設や中小規模の工場などへの導入を想定。装置をボイラーに併設するなどして使用する。
装置の大きさは幅0.85×高さ1.9×奥行き2メートルと小型で、どこにでも比較的容易に設置できるメリットがある。また、製造される炭酸カリウムも、さまざまな工業用途で一定量の需要がある。
装置が順調に稼働し続けた場合、年間5トンの炭酸カリウムが製造できるという試算がある。排出されるCO₂量は、通常の工法で炭酸カリウムを製造し原料輸送時などを含めたサプライチェーン全体と比べて、装置では2割程度を削減できるという。
今後、顧客先で、ガス機器と装置を組み合わせた実証などを進める。将来的には、炭酸カリウムを回収して製品化し、発生元に活用してもらうサイクルを構築し、「地産地消のイメージ」(同部)を実現する構想もある。