2019.12.03 【新4K8K衛星放送特集】視聴機器、10月末で累計218万6000台 4Kテレビのチューナ搭載当たり前に
買いやすい価格の製品も増えて持ち帰り客も多い
新4K8K衛星放送がスタートして1年が経過した。この1年で新4K衛星放送のチャンネル数が17チャンネル、8K放送1チャンネルと合わせ計18チャンネルになった。
新4K8K衛星放送が視聴できる機器は10月末に累計218万6000台となり、今年発売された主要テレビメーカーの4Kテレビは4Kチューナ内蔵が当たり前に。
一方でチューナを搭載していない4Kテレビの出荷も600万台を超えており潜在需要は非常に多い。4Kチューナだけでなくチューナ搭載レコーダも増えている背景から、4Kチューナ非搭載テレビユーザーへの提案も重要になりそうだ。
新4K8K衛星放送のスタートにより、4K放送を中心にした高精細な放送がより身近になってきている。主要テレビメーカー各社の19年モデルは新4K放送をはじめ、あらゆる映像コンテンツを高画質、高音質で楽しめる工夫を施した製品を拡充。特に今年のモデルは有機EL、液晶ともに4Kチューナの搭載が当たり前になり、テレビ本来の画質と音質にこだわる。参入メーカーも増え、ユーザーの選択肢は広がってきている。
テレビの出荷も順調だ。今年はラグビーW杯もあり8-9月の出荷は順調に伸びた。来年はいよいよ東京五輪・パラリンピックが開催される。年末以降、販売増を期待する声も多く、テレビメーカーや流通各社も提案に力が入る。
AI技術を活用へ
主要各社の動きを見ると19年モデルはAI(人工知能)技術を活用する動きが活発な上、メーカー間で映像や音に特徴が出ており、好みに合わせて製品を選べる環境が整ってきている。
パナソニックは新4K衛星放送のダブルチューナを内蔵した4K液晶ビエラをはじめ、4K有機ELビエラ「GZ2000」を訴求。有機ELビエラはパネルのチューニングを含めた自社生産を実現し、高画質映像に磨きをかけた。音質では高級オーディオブランドのテクニクスの技術ノウハウを盛り込んでいる。
ソニーは新4K衛星放送ダブルチューナを内蔵した4K有機ELと4K液晶の「4Kブラビア」を拡充し、最上位機は映像の作り手の意図を生かすチューニングを施した。有機ELは画面を振動させて音を出す独自の音響技術を進化させ、究極の画音一体を実現している。
東芝映像ソリューションは4K液晶と4K有機ELテレビ「4Kレグザ」19年モデルで画質と音質を大幅に強化。新4K衛星放送チューナを2基搭載しW録画に対応するとともに、高画質化に向けてはAIを活用。有機ELレグザは映像制作現場といったプロでも活用できる高画質機能を搭載した。
シャープは4Kだけでなく他社に先駆けて8Kテレビを商用化。8Kチューナ内蔵液晶アクオス8Kに加え、新開発の8K画像処理エンジンを搭載し、あらゆる映像を8K相当の画質で視聴できる8Kチューナ非搭載の8K対応テレビを発売した。8Kチューナ搭載モデルと4Kテレビとの間に入る製品として提案していく。
三菱電機は今年4Kチューナ、HDD、ブルーレイレコーダを内蔵した「リアル4K RA2000」を発売。4K放送をそのままBDに記録できるだけでなく録画番組は外出先でも視聴できる。
4Kチューナなどをいち早く投入してきたピクセラは新4Kチューナを内蔵した40V型、50V型の4K液晶テレビを発売し製品群を充実させた。アイリスオーヤマはテレビの製品群を拡充。新4Kチューナを内蔵しない4K対応液晶テレビなどを追加し、市場への本格参入を果たした。
ヤマダ電機と独占販売契約している船井電機は液晶と有機ELテレビを用意。高画質エンジンで美しい映像が楽しめるだけでなく録画機能なども充実させている。
海外メーカーでは、いち早く国内で製品展開を図るLGエレクトロニクス・ジャパンは4K有機ELテレビを展開。AIを活用した高画質・高音質化にこだわる。
中国勢も攻勢をかける。ハイセンスジャパンは新4Kチューナを内蔵した4K有機ELとULEDテレビと4K有機ELテレビを発売。さらに中国家電大手TCLの日本法人TCLジャパンエレクトロニクスは、量子ドットLED技術「QLED」を採用した4Kテレビなどを投入して、日本市場への本格参入を果たした。
4K対応レコーダなど周辺機器増加
周辺機器も増えており、特に4Kチューナ内蔵のブルーレイレコーダの製品群が拡大。主要各社はこの1年で4K対応のレコーダを増やしており、昨年12月以降はいち早くパナソニックが新4Kチューナ内蔵のレコーダを発売。その後、シャープやソニーが4Kチューナ内蔵のレコーダを投入している。東芝映像ソリューションは4K録画に対応したハードディスクレコーダを発売した。
各社とも複数番組録画が特徴で、パナソニックは新4K衛星放送チューナを2基搭載し、2番組同時録画に対応している。ソニーも4K2番組とハイビジョン放送の計3番組が同時録画できる。番組に合わせて最適な録画モードを選べる長時間録画モードを搭載。
シャープは4K放送の2番組同時録画に対応している。東芝映像ソリューションは新4K衛星放送チューナを2基搭載し、好きな番組が手軽に見つけられるクラウドサービスにも対応している。
いま、4K放送はリアルタイムでの視聴だけでなく録画もできるようになってきた。各社は4Kテレビとともに販促をかけていく。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、1-10月のテレビをはじめとした映像機器の出荷台数は消費増税の駆け込み需要などもあり同8.6%増と好調に推移している。製品別出荷台数では4Kテレビを中心に堅調だ。新4K8K衛星放送対応チューナの発売開始からの累計出荷台数は21万7000台となった。来年の東京五輪・パラリンピックに向けて4K関連製品の需要はさらに伸びそうだ。
【新4K8K衛星放送特集】目次
●視聴機器、10月末で累計218万6000台 4Kテレビのチューナ搭載当たり前に
●新4K8K衛星放送1周年セレモニー開催 2年目に向けた体制整う
●NHK編成局 稲毛重行専任局長と落合淳編成主幹に聞く年末年始のコンテンツ見どころ
●パナソニック 4Kテレビ全シリーズにチューナ搭載
●朋栄 マルチパーパスシグナルプロセッサ「FA-9600」など4K・8K制作ニーズ対応
●カナレ電気 容量バリエーションと高速性両立のストレージ提案