2021.12.15 【セミコンジャパン2021特集】リアル展示会が復活、リアルとオンラインセミナーも併催

前回(2019年)のセミコンジャパン。20年はバーチャル展のみの開催だった

 半導体・同製造装置展「セミコンジャパン2021」(SEMIジャパン主催)が15日から17日まで、東京都江東区の東京ビッグサイト(東ホール)で開催される。昨年は新型コロナ感染の影響でバーチャル展のみだったが、今年はリアル展が復活してリアル展示会に加え、リアルとオンラインセミナー併催の「SEMICON Japan 2021 Hybrid」として開かれる。

 同展示会は半導体産業における製造技術、装置、材料をはじめ、車やIoT機器などのSMARTアプリケーションまでをカバーする。国内外約450社が出展するエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会を目指している。

 会場は前工程ゾーン(東3・4・5ホール)、後工程・総合ゾーン(東1ホール)、部品・材料ゾーン(東2ホール)の展示で構成される。

 前工程ゾーンは、エレクトロニクスデバイス製造の設計から露光・描画装置、レジスト処理装置、エッチング装置、薄膜形成装置などウエハー製造工程、ウエハープロセス工程などの最新製造設備がそろう。

 後工程・総合ゾーンは、ダイシング装置、ボンディング装置、パッケージング装置、試験・検査装置、ウエハー/マスク材料、プロセス材料、パッケージング材料等が出品される。

 部品・材料ゾーンは、エレクトロニクスデバイス製造に関連する部品と材料の展示が中心になる。

 会場では「製造イノベーションパビリオン」「パワー・化合物半導体パビリオン」など、分野別のパビリオンが設けられる。

 製造イノベーションパビリオンは、半導体デバイスの性能・品質・コストを改善するイノベーションを発信する。パワー・化合物半導体パビリオンはパワーデバイスなどで注目されるSiC、GaN、Ga2O3などの化合物半導体製造技術を展示する。

 「テクノロジーパビリオン」は、エレクトロニクス産業をドライブする五つの最先端技術を展示で構成する。

 「FLEX Japan 2021」は、軽く・薄く・曲がるフレキシブルエレクトロニクスと、リジッドなシリコン半導体のハイブリッド技術とその応用を、展示とカンファレンスの両面から取り上げる。

 「第2回量子コンピューティングパビリオン」は、量子コンピューター業界と半導体業界のコラボレーションの土台づくりとして、半導体業界の識者に量子コンピューティングの業界、技術、製品、企業を紹介する。オンラインカンファレンスの「量子コンピュータ開発最前線」と併せ、2業界の相互理解と協業の可能性を促進する。

 「第2回SEMI 5G/ポスト5G パビリオン」は、第5世代移動通信規格・5G/ポスト5G技術が体験できる。「第4回SEMI SMART Mobilityパビリオン」は、実車展示と共に次世代モビリティーを支える半導体テクノロジーを紹介する。

 「新型コロナウイルス対策パビリオン」は、事業所内に導入できる新型コロナウイルス対策製品・サービスを展示する。半導体製造に活用している優れた空調技術など、新型コロナ感染対策に応用した製品やサービスが増えていることから、これらを会場の専用スペースに集めて、広く参加者に認知されることを目指す。10社が出展する。

 このほか、「地域パビリオン」では、半導体産業が集積する東北と九州の2パビリオンが設けられる。

 会期中3日間にわたり9セッション(講演・パネルディスカッション)が予定されている。開催初日の基調講演では、自民党の甘利明氏が日本の半導体産業の復活に向けた具体的な取り組みについてスピーチするほか、経済産業省商務情報政策局政策担当幹部が半導体産業の復活に向けた具体的な取り組みとして、国内製造基盤の確保、制度改革などの製造基盤強化のプログラムを紹介する。

半導体製造装置、旺盛な需要続く

 昨年来続く幅広い分野での旺盛な需要と半導体不足を受け、2021年は主要半導体企業が生産力増強に積極的な設備投資を行った。これに伴い半導体製造装置の販売額も増加し、SEMI(国際半導体製造装置・材料協会)によると、1~9月の世界累計販売額は前年同期比45%増の752億ドル。9カ月で既に20年通期実績712億ドルを超えた。また14日発表の最新レポートでは、21年販売額を前年比44.7%増の1030億ドルと、業界初の1000億ドル超えを予想した。

 半導体はスマートフォンやパソコン、サーバーなど従来のコンピューティング向けにとどまらず、自動車、産業機器など幅広い分野に用途が拡大。世界的に広まるカーボンニュートラル実現に向けた施策でも、重要な役割を果たすと期待されている。メモリー、ロジック、アナログ半導体と幅広い製品分野で今後も力強い需要が続くと見られ、メーカーの投資も熱を帯びる。

 ファウンドリー世界最大手の台湾TSMCは今年、過去最高となる300億ドルの設備投資計画を発表。さらに今後2年、同規模の投資を続け、23年までに計1000億ドルを投じる予定だ。同社は22年4~6月には最先端の3ナノメートルの生産を開始、24年には2ナノメートルの量産も計画しており、投資の大半は先端ロジック半導体の製造強化に向けられる。

 TSMCととともに「半導体ビッグ3」と称される米インテル、韓国サムスン電子も先端分野の強化に巨費を投じる。インテルは今後数年で米国に3工場、欧州に2工場以上を建設するとして、総額1100億ドルを超える投資計画を立て続けに発表。かねて米国へのロジック工場建設を表明していたサムスンも11月にテキサス州への170億ドル規模の投資を正式に発表した。

 先端分野だけでなく、RFや車載半導体などの大幅な需要増でレガシープロセスへの投資も拡大している。アナログ半導体最大手の米テキサス・インスツルメンツは、300ミリファブへの新たな投資を表明。300億ドルを投じて最大4工場を建設する。アナログ市場では300ミリウエハーへの移行が進むが、足元では200ミリのレガシープロセスで製造される半導体不足が深刻化。こちらは中国が投資を加速させており、SEMIによれば21年の200ミリ生産能力の2割近くを中国が占める見通しという。

 最先端からレガシーまで旺盛な設備投資を背景に、22年も半導体製造装置は過去最高を更新する見通しだ。