2021.12.28 東ガスと関西電、VPP事業で業務提携需給調整市場に共同参入も視野

 東京ガスと関西電力は、顧客が保有する自家用発電機や蓄電池、電気自動車(EV)などを一体的に制御するバーチャルパワープラント(VPP、仮想発電所)事業で業務提携を結んだ。得意とする知見を共有しながら、2021年4月に開設された需給調整市場への共同参入も視野に入れる。

 VPP事業は、工場や家庭などが地域に分散して持つエネルギー源を結び付けて制御することで、あたかも一つの発電所のように機能させる。気候条件などでの電力需要の増減や、再生可能エネルギーの発電量が変動した際に、需給バランスさせる調整力として期待されている。

 VPP事業を推進するためには、再エネ電源を多様化し、規模を拡大して運用力を高めることが課題となる。再エネ電源の規模が大きくなるほど、個々の設備の利用時間帯や運用方法の違いを緩和でき、安定的な供給力や調整力を得ることができる。

 東京ガスは、発電時に発生する排熱を回収し、蒸気や温水として工場などの熱源や冷暖房、給湯などに活用するコージェネレーションシステムの運用を得意とする。こうした知見などを「互いに共有していくことが第1ステップだ」(東京ガス)。

 電気は需要が供給を上回ると周波数の低下などが起き、常に需要と供給が一致しなければ停電や設備機器への影響が出る。そうした周波数調整や需給バランスの調整を行うために、送配電網を持つ大手電力のグループ会社が調整力を調達・運用する目的で需給調整市場が開設された。東京ガスによると、同市場ではエリアごとに1000kW以上の電力を持つ必要があるが、両社の電力を組み合わせ、22年度をめどに一部のエリアで共同参入することも視野にあるという。

 その後、VPP事業に特化した合弁会社の設立も見据えて検討を進めていく。