2022.03.28 日本電子が出前授業実施電子顕微鏡で理科教育支援、コロナ禍でも観察する楽しさ

電子顕微鏡の操作体験(宮城県角田市立横倉小学校)

JAIMAサマーサイエンススクール2021JAIMAサマーサイエンススクール2021

 日本電子は、子どもたちに科学の楽しさを伝える理科教育支援活動として、自社の卓上走査電子顕微鏡を使った出前授業を2007年から実施している。

 当初、本社のある東京都昭島市や近隣の小学校などで実施してきたが、11年に発生した東日本大震災後は復興支援として東北地方の小学校でも出前授業を開始し、毎年訪問を続けている。

 東京都日野市の小中学校では、東京都教育委員会の「理数授業特別プログラム」で授業を行ってきた。プログラムの満了後も都教委の要望を受け継続している。

 授業では、電子顕微鏡の仕組みを学ぶ講義や児童たち一人一人が実際に植物の花粉や昆虫の体などを観察する電子顕微鏡の操作を体験。3Dメガネによる電子顕微鏡写真の立体的な観察や、アクリル樹脂で固めた昆虫や植物の実、貝などの標本のスケッチを行う。

 昆虫などを近くで見る機会が少ない子どもたちが、標本を手に取り詳細をじっくりと「観る」ことで、新しい世界に興味が湧くよう創意工夫を凝らした。

 こうした体験型の授業に対し、担当教諭からは「最先端の理科学機器に触れ、大いに啓発を受けた」「児童が背伸びして考えようとする良い機会となった」などの感想が上がった。子どもたちからは、「花粉は花によって形が違うことに驚いた」「アリの目がハニカム構造になっていて驚いた」「直接見たり操作でき、楽しかった」など、肉眼では見ることのできない微細な世界への興味や電子顕微鏡についての関心も寄せられた。

 昨年度に続き中止となる授業やイベントが多く、対面での体験学習が難しいこともあり、オンラインでのイベントを企画・参画。日本分析機器工業会主催の「JAIMAサマーサイエンススクール2021」では、同社と高校をオンラインでつなぎ電子顕微鏡の遠隔操作体験会を実施した。生徒からは驚きや感嘆の声が上がった。

 自社ウェブサイトの理科教育支援コンテンツも拡充し、動画(「電子けんび鏡で鳥の羽の秘密を探ってみた」)や電子顕微鏡画像のクイズ(「花粉の花当てクイズ」「探検!ミクロの世界 キッチン&ダイニング編」)を公開している。

 これまで、小・中・高等学校や科学イベントで、電子顕微鏡を持ち込んだ授業、電子顕微鏡体験教室を約620回開催。学校の授業ではなかなか体験できない実習を通して、未来の科学技術を担う人材育成につながることを願い、コロナ禍でも状況に応じた方法で理科教育支援活動を継続する考えだ。