2020.01.01 【オーディオ/ヘッドホン各社の20年事業戦略】ラックスマン 川上晃義 社長
川上晃義 社長
ハイエンド層に応える
オーディオ市場を活性化へ
19年の国内販売は、ラックスマンブランド製品が前年比105%、フォーカルのスピーカは6月頃から動き始めて同110%と好調だった。
海外は前年比横ばい。香港と中国の不信が影響した。米国は同130%と健闘。ヨーロッパも横ばいだが、英国以外は伸びている。
米国は、景気が良好なことが基本にあるが、シカゴで4月に開催された展示会「AXPONA」で、ワンボディーセパレート思想の旗艦AB級プリメインアンプ「L-509X」が注目を集めた。シアタールーム用に改造してほしいという要望も来ている。
マークレビンソンやマッキントッシュが対抗機種になるが、当社はメンテナンス性の高さが評価されている。ラックスマンアメリカが機能しており、拠点をニューヨーク州に構えて販売体制も増強した。
19年4月に発売した真空管コントロールアンプのトップモデル「CL-1000」も好評。価格的には、お求めやすいプリメインの5倍もするが、現在もコンスタントに売れていて、雑誌評価や音を聴いての購入が中心となっている。
18年12月に投入したアナログプレヤーの「PD-151」も高い評価を得ている。購買しやすい価格なので上位モデルの「PD-171A」との競合を懸念したが、いずれも好調に推移した。プレヤーは売上げの基盤を担っている。
フォーカル製品ではヘッドホンの「STELLIA」が人気で、33万円と高額だがよく売れている。スピーカはKANTAの上位、ハイエンドモデルとなるSOPRAが好調だ。フォーカルのカーオーディオを載せたシトロエン車のショールームでフォーカルスピーカをデモし、家でもフォーカルで音楽を聴くことを訴求している。
19年12月には新ブランド「LUXMAN B-side」を立ち上げ、第1弾として「Alexa」搭載のワイヤレス・ストリーミングスピーカ「ASC-S5」を発売した。
筐体は6400もの多孔アルミの立方体。スイッチと音量調節を兼ねた無垢材削り出しホイールがアクセントで、フランスのデザイン会社「arro studio」が監修したインテリア性の高い斬新な製品。
ウーハー1、ツイータ2を内蔵。Wi-Fiとブルートゥースを装備しており、2台組み合わせればステレオになる。ワイヤレスサブウーハーやレコードプレヤーなども開発中。所有欲をそそる製品と自負している。高級インテリア店で展示したいとの申し出もある。
20年のラックスマンは、オーディオ愛好家の頂点に近い層を対象とした製品を積極的に展開する。こだわったライフスタイルを楽しんでいるミレニアル世代をターゲットにしたB-sideブランド製品を加え、多角的に事業を拡充し、オーディオ市場の活性化に寄与したい。
【オーディオ/ヘッドホン各社の20年事業戦略】目次
●オーディオ市場が目まぐるしく変貌
●オーディオテクニカ 松下和雄 社長
●ヤマハミュージックジャパン AV・流通営業部 野口直樹 部長
●マクセル 乘松幸示 取締役 ライフソリューション事業本部長兼キーデバイス事業部長
●ラックスマン 川上晃義 社長
●アキュフェーズ 伊藤英晴 社長
●オーエス 奥村正之 社長