2022.10.06 電子部品各社、CASEのメガトレンドに照準 xEV、ADASなど高度化サポート
車載モーター向け高精度高出力磁気角度検知センサー(アルプスアルパイン)
自動車の技術進化に向けた電子部品の技術開発が進んでいる。電子部品メーカー各社は、「CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)」のメガトレンドに照準を合わせ、次世代xEVやADAS/自動運転技術の高度化などをサポートする新たな電子部品開発を加速させている。
現在の自動車市場は、「100年に一度」とされる大変革期を迎えている。特に昨今の世界的な「脱炭素化」ニーズの高まりは、車の電動化の流れを加速させていくことが見込まれる。自動走行レベル3以上の自動運転車の開発競争も一段と活発化している。電子部品・デバイスメーカー各社は、こうした自動車の技術進化や業界構造の変化に照準を合わせ、車載用電子部品の先行開発に全力を挙げている。
ADAS/自動運転関連技術
自動運転の実現には、高信頼の通信機能や高精度な物体認識、膨大なデータをリアルタイム処理するための情報処理技術、高度な車両制御、AI(人工知能)/エッジコンピューティング技術、セーフティー技術、3次元地図データなど、さまざまな技術の融合が必要。電子部品には極めて高い品質や信頼性が要求される。部品各社は、これらを実現するため、高機能センサーや通信制御デバイス、撮像デバイス、大容量高速伝送デバイスなどの開発を活発化させている。
安全系では、車車間/路車間通信用のV2Xモジュールやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)、高精細カメラモジュールなどの高性能化や小型化が追求されている。車載カメラは、車載センシングカメラ用の高画素カメラモジュールや周辺部品の開発が進展。2メガピクセルなどの高画素化や、将来の5ギガbpsなどの高速画像伝送に対応するデバイス開発が進む。将来の自動走行レベル4実現のキーとなるLiDARは、市販の機械式LiDARに加え、小型で低コストのMEMS式の開発も加速している。
xEV用部品技術
xEVなどの電動車は、一充電当たりの航続距離増大や電費性能向上のため、車載リチウムイオン電池や電気二重層キャパシター、LICなどの充電デバイスの高性能化が進んでおり、車載バッテリーやインバーター、コンバーター周り向けに大電流・高耐圧の電子部品開発に力が注がれている。EV駆動モーターなどを高精度で制御するためのセンサー開発も進む。
EVの一充電当たりの航続距離向上のためには車体軽量化が必須で、搭載部品への軽量化要求も厳しい。こうしたニーズに対応するため、電子部品メーカーでは、材料見直しによる軽量化や複数の機能を一つの部品で実現する複合部品・モジュールの開発にも力を注いでいる。
車室内用電子部品技術
運転者や乗員の快適性、利便性、安全性を向上するための車室内用電子部品の技術開発も進展している。
情報量増大や安全性向上のためのフロントディスプレーの大型化や曲面化ニーズに対応し、静電タッチパネルの大画面化や曲面対応技術の開発が進展。操作性や安全性向上の観点から、フィードバック機能付きの入力デバイス開発も進む。
音響部品は、将来の完全自動運転車での車室内リビングルーム化を先取りし車載スピーカーの薄型・軽量化追求や車載専用ヘッドホンなどの開発が進んでいる。車室内監視用デバイスでは、ミリ波レーダーを活用した幼児置き去り検知システムなどの開発にも力が注がれている。