2022.10.12 【日本ロボット工業会創立50周年特集】三菱電機 古谷友明執行役員FAシステム事業本部機器事業部長

古谷 執行役員

eファクトリーソフト強化、高効率生産実現を提案

 日本ロボット工業会が創立されて10年ほど経過した1981年から当社は小型ロボットの外販を始め、それ以来、工業会活動に参画してきた。それまで自社用としていくつかの製作所で溶接ロボットを開発していたが、名古屋製作所に集約して本格的な事業を開始した経緯がある。

 当社はシーケンサー、サーボシステム、CNC(数値制御装置)を核としたFA制御システムを重点成長事業の一つに掲げ、生産の自動化・省人化に貢献する機器開発を強化している。

 そして、これら機器にIoT技術を活用し、センシングデータによって製造プロセスを見える化して課題解決を図る製造業向けFA統合ソリューション「eファクトリー(e-F@ctory)」を推進している。

 製造業では、省人化・自動化のニーズに対応した産業用ロボットの導入をきっかけにeファクトリーの構築へと発展するケースが多い。

 eファクトリーをさらに進化させ、ECM(エンジニアリング・チェーン・マネジメント)の概念を導入し、ソフトウエアを強化することで生産性・品質の改善サイクルを高速化し、高効率生産の実現を提案する。

 FAとITのデータを一元的に管理するIoTプラットフォームで、さまざまなデータの監視・分析ができる「SCADA GENESIS64」、トラブル発生時にカメラ映像やデバイス状態から原因を解析できる、AI(人工知能)搭載の映像分析ソフト「GX VideoViewer Pro」、シーケンサーやモーションなどの制御動作をシミュレーションし、デジタル空間に3Dで構築した生産設備・生産ラインの動作や制御などの事前検証を実現する、デジタルツイン技術を活用した3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini」などを開発、製品化。

 例えばデジタルツインを活用することで、実機レスで生産設備・生産ラインの立ち上げ時間を削減することができ、人の「勘」や「経験」をデジタル技術に置き換え、制御システムへの組み込みを容易に実現する。

 今後、ロボットを含めてFA機器の需要は確実に増加する。当社はこれまで主に日本と中国でFA機器の生産を行ってきたが、尾張旭に新工場を建設するほか、インドにも工場を新設しグローバル拠点として運営する。

 また、海外市場のニーズに合わせ、カスタマイズして製品を提供するため、中国、北米、欧州、インドなどで「共創センター」を拡充している。