2024.04.25 東海大、“透明ラップ”の普及に力入れる 厚さ100ナノメートル、医療・産業用に

標本に貼り付ける(提供=東海大学)

東海大の喜多理学部教授(18日、都内)東海大の喜多理学部教授(18日、都内)

100ナノ厚の膜を枠に保持(提供=東海大学)100ナノ厚の膜を枠に保持(提供=東海大学)

高分子ナノ薄膜「マイエル」高分子ナノ薄膜「マイエル」

 東海大学は、厚さ100ナノメートルの高分子ナノ薄膜「Myell(マイエル)」の普及に力を入れる。透明なラップフィルムのように貼り付け顕微鏡のカバーガラス代わりに使えるほか、傷口をふさぐなどの用途に役立つ。素材となる高分子の種類を切り替えれば産業用にも向く。

 16~18日に開催した医療機器の展示会「メドテックジャパン2024」に出展。同学マイクロ・ナノ研究開発センター所長の喜多理王理学部教授らが研究開発成果を解説。「基板上で生成した100ナノメートル厚の高分子膜をワンステップではがし、枠の中で保持できる」と特徴を語った。

 ニコングループとの共同研究の成果と、東海大の特許技術を活用。喜多教授らが中心となって設立した大学発ベンチャー、チューン(神奈川県厚木市)が20年から販売を本格化。

 表面に直径1マイクロメートルの穴を開けたタイプもあり、マイエルを貼った標本に試薬を注いで流動させず観察が可能。

 外科手術後に縫合する代わりに薄膜を貼る、止血する、やけどを覆うといった使い道も研究している。

 喜多教授は「薄型テレビやバッテリーなど薄膜はいたるところに使われる」とし、電池や電気回路など膜を有する産業用部品・製品への用途開発も行っていると明かした。(電波新聞/電波新聞デジタルで後日詳報します)