2024.05.19 あらゆるモノがネットにつながるIoT 一体どんな技術なの?
IoTとAIなどを組み合わせた未来型ストアにも注目が集まる
「IoT」という言葉をさまざまなシーンで聞くようになりました。「モノのインターネット」と呼ばれるIoTとは、どのようなものなのでしょうか。 われわれの生活だけでなく、今や産業界にとっても欠かせない技術となっています。一方で、新たなセキュリティー上の課題も生まれています。IoTに詳しくない新入社員と経験豊富な記者の対話を通して、IoTの現状と可能性、そして課題を探っていきます。
新入社員 IoTというのを最近よく耳にするようになりました。具体的にどのような技術なのでしょうか。
記者 IoTは「Internet of Things」を略したもので、「モノのインターネット」という意味です。さまざまな機器や商品などをインターネットにつなげて管理したり、制御したりする技術です。1999年に米国から始まったとされています。当時は機器や商品などをインターネットにつないで管理する概念として捉えられていましたが、人工知能(AI)やセンサー技術の発展により、今では幅広く使われるようになってきました。
新入社員 具体的にはどのように活用されているのですか。
記者 例えば、IoTを活用することで、小型の電子タグを商品に取り付け、スマートフォンや店舗内の機器から商品の在庫状況をクラウド上に自動で集約・管理することができます。工場の生産設備にセンサーを取り付けてデータを収集・分析し、設備異常の予兆を検知するなども可能です。
新入社員 すごいですね。生産性の向上やコスト削減に役立つ技術なんですね。
記者 そうですね。さらに近年では、カメラやセンサーなどの機器とクラウドやAIとを組み合わせることで、IoTの機能が飛躍的に広がっています。
例えば、店舗では来店客の動きや購入商品をAIカメラで認識し、レジを通らずに自動で支払いを済ませるシステムも実用化されています。オフィスでは、社員の顔を認識して不審者がいた場合にアラートを出すなど、さまざまなサービスが展開されるようになってきました。
新入社員 そうだったんですね。でも、色々な機器がネットにつながると、セキュリティー面が心配です。
記者 ネットにつながったIoT機器が、悪意のある人に乗っ取られるリスクがあるのも事実です。屋外の監視カメラでは、人の目がない夜間などにソフトウェアが不正に書き換えられる危険性があります。ネットワークにつながったIoT機器が管理者不在のまま放置され、ソフトウェアの更新が止まってしまうと、サイバー攻撃に悪用されるリスクも増えてしまいす。
新入社員 ネットにつながるリスクは、やはりあるのですね。でも、便利な技術でもあるので、市場は大きくなっているんですか。
記者 IT専門調査会社IDC JapanのIoT製品・サービスの市場予測によると、23年のユーザー支出額の実績は6兆4672億円でした。23~28年の年間平均成長率は8.0%で、28年には9兆4818億円に達すると試算されています。市場は年々拡大していくと見られています。
新入社員 そうなると、IoTを導入する企業にとって、セキュリティー対策はとても重要になりますね。 記者 その通りです。IoTの便利さの背後には、セキュリティーのリスクが生まれているということを認識し、適切な対策を講じることがますます重要になってきています。