2024.06.06 【ITサポートサービス特集】NECフィールディング オファリングサービスを開始 上期中にメニュー体系化
笹嶋 事業部門長
NECフィールディングは、保守サポートのオファリング(提案型)サービスを始める。全国約340拠点約3200人のエンジニアによる24時間365日体制の保守網と、NECグループの保守運用で培ったノウハウを組み合わせ、従来の受託型の保守から提案型の保守へ切り替えていく。今年度上期中にサービスメニューを体系化し公開する。
従来型のハード機器の保守が減少する中、サービス基盤を生かし、メーカーや機器を問わずに保守サポートするマルチメンテナンスを前面に出してきた。最近は一括で保守を請け負う案件も増加。2019年からカシオ計算機の機器の保守を丸ごと請け負っているほか、商社系企業が展開するIT機器の保守を一括で請け負う案件も出てきた。これまでにマルチメンテナンスは約100社と契約している。
今回、ここでの経験を生かしながらオファリング型サービスを本格的に開始する。執行役員の笹嶋博之アライアンス事業部門長は「これまで個別に対応してきた保守案件の知見を横串で組み合わせ、企業の課題に先回りして提案できるようにしていく」と話す。6月中をめどにオファリングビジネス「DXフルアウトソースオファリング」を発売する。
オファリングメニューには、コンタクトセンターの受付からオンサイト(駆け付け)保守まで組み合わせて標準化した「メンテナンスアウトソーシングサービス」を用意。ネットワークやセキュリティーの領域でもメニューを開発中だ。
秋口にはベンダーを問わずネットワークの脆弱(ぜいじゃく)性を診断し支援する「マルチベンダー脆弱性対処サービス(仮称)」を始める。顧客のICT機器に遠隔監視できる仕組みを接続し、難しいシステム構築などをせずに遠隔監視とオンサイト保守を可能にする。「NECグループで遠隔監視できるシステムを開発中」(笹嶋氏)という。
オファリングサービスの開始には、同社の知見を組み合わせて速やかに価値の高いサービスを提供していく狙いもある。従来は、顧客から受託した後に具体的な技術対応やサービスレベルを調整してきたが時間と手間が多くかかった。
オファリングサービスはあらかじめ同社のサービスメニューが明確になっているため、「委託までの時間が短くなり、速やかに保守サービスが受けられる」(笹嶋氏)。より低コストでの提案もできるようになる。
これまでのマルチメンテナンスも継続する。医療機器の保守ではX線機器やCTなどの領域にも対応できるようになった。冷蔵機器の保守ではフロン関連機器の資格取得を進め、250人規模まで拡大している。技術者を引き続き増やしながら「医療や冷蔵機器関連の提案活動を加速し受注を増やしていく」(笹嶋氏)計画だ。
社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)もいっそう推進する。NECと連携して進める量子アニーリング技術を使った部品配送で大幅な効率化が図れているほか、昨年稼働した相模原テクニカルセンターでもデジタル技術を駆使した運用が始まっている。
今年は生成AI(人工知能)を活用した保守支援に取り組む。生成AIによる保守マニュアルの自動作成を始めている。受付対応でのAIの活用も進む。
今後は他社協業もさらに進める。笹嶋氏は「より安心して委託してもらえるよう、汎用(はんよう)的なマネージドサービスも検討していく」と述べた。