2020.05.26 【LED照明特集】CSL/HCL

照明のIoT提案は店頭でも始まっている

様々な機器と連携進む IoTやAIで人に優しい照明へ

 照明が新たな価値を実現するための方向性として、CSL(コネクテッド・スマート・ライティング)とHCL(ヒューマン・セントリック・ライティング)がJLMAから示されている。ともにIoTとあかりの質にかかわるテーマだ。

 CSLは、照明のIoT化を生かし、AI(人工知能)やビッグデータなどと連携。様々な機器ともつながって新たな価値やビジネスの創造を目指すものだ。既にメーカー各社は取り組みを加速している。

 例えば、東芝ライテックは、LEDベース照明にカメラを融合した「ビューレッド」を製品化している。天井立地で電源も確保されている照明の利点を生かした製品で、5月末にはシリーズ第2弾として、工場・倉庫向けの高天井用ビューレッドの受注を開始する。

 これまで照明は「照らす」役割であったが、それに「映像記録」の役割も兼ねさせる。工場などでは作業の安全性を確保するためにカメラを設置することもあり、照明設備と一体化するメリットで、新たな需要を掘り起こしたい考えだ。

 HCLは、IoTやAIなどの技術を駆使し、人に優しいあかりの実現を目指すもの。LEDが主力照明となったことで、キメ細かな調光調色制御ができるようになるとともにIoTやセンサーなどと連動した生体リズムでのあかりの変化なども実現されつつある。

 パナソニックは、西川と共同で照明制御と連携した睡眠サービスの提供を3月から開始。睡眠の質に着目したサービスで、照明だけでなく、ベッドやエアコンといった他機器とも連携していることが大きい。照明単体では高めにくい付加価値を、他機器との連携で実現した格好だ。

 CSLにしてもHCLにしても、まだその入り口に立ったばかりだ。あかりによる快適性ばかりでなく、あかりによる見守りといった安心・安全につながる需要の創造も、あかりが今後果たすであろう役割の一つに数えられている。

 IoT化の進展とあかりの質の向上をうまく混ざり合わせ、様々な分野であかりで変革を起こそうと、メーカーは試行錯誤を繰り返している。

 30年にストック市場の100%LED化を目指す中、CSLとHCLがその背中を押す大きな要因にもなるはずで、各社が自社の強みを最大化する製品開発を進めている。