2024.12.11 【流通びと】ヨドバシカメラマルチメディア千葉(千葉市中央区) 企画担当の濱田淳さん POP制作歴20年、店舗力アップのノウハウ光る

クリスマス仕様にラッピングしたマルチメディア千葉の入り口に立つ濱田さん

マルチメディア千葉でも、テレビの側面にPOPを設置して空間を有効活用しているマルチメディア千葉でも、テレビの側面にPOPを設置して空間を有効活用している

文房具コーナーも、楽しい雰囲気になるように文房具をかたどった天吊りPOPにこだわる(マルチメディア千葉)文房具コーナーも、楽しい雰囲気になるように文房具をかたどった天吊りPOPにこだわる(マルチメディア千葉)

まるでボーリングのレーンのような実演ブースも濱田さんの手作りだ(マルチメディア横浜、8月撮影)まるでボーリングのレーンのような実演ブースも濱田さんの手作りだ(マルチメディア横浜、8月撮影)

マルチメディア横浜で作った巨大ヘアドライヤーの販促物(8月撮影)マルチメディア横浜で作った巨大ヘアドライヤーの販促物(8月撮影)

 さまざまな商品を取り扱う家電量販店にとって、来店客の目を引く売り場づくりは販売につなげる重要な要素だ。

 11月15日に移転オープンしたヨドバシカメラマルチメディア千葉(千葉市中央区)も、独自のPOPを取り入れた店舗づくりに注力している。全商品カテゴリーのPOP制作を担当するのが、制作歴20年の企画担当・濱田淳さんで、デザインから販促物への加工まで手掛けている。

 「オープンまで一週間を切っていて、急ピッチで作業に取り掛かりました」。マルチメディア千葉の移転オープンに向けて、関東全域の店舗からPOP担当者が集結。濱田さんも、マルチメディア横浜(横浜市西区)から駆け付けた。 

 無事にオープンし、濱田さんはマルチメディア千葉にそのまま異動。クリスマス商戦に向けて早くも手腕を発揮している。

 建物を支える柱1本1本をクリスマス仕様に装飾し、ドアの縁まで彩った。「全部、貼りました。少しでも買い物をしやすい雰囲気にしたくて」とはにかむ濱田さん。

 店内は、天吊りPOPの数を抑え、エスカレーター周辺には加湿器などの背が低い商品を展示し、店内奥まで見渡せるように工夫されている。

 全国の店舗に先駆けて、新たな展示方法も導入。掃除機コーナーでは什器の高さを低くし、商品を見渡せるようにした。スチームオーブンレンジやポータブルゲーミングPC、ヘアドライヤーなどの展示にドーナツ型のブースを取り入れ、実演時に販売員が中央に立って商品説明をする。

 「マルチメディア千葉を発信地として、新たな取り組みをしていきたいです。これから積み上げていける場所です」(濱田さん)と、売り場づくりは今も進行中だ。

 濱田さんは、POPを「物言わぬ販売員」と表現。商品の機能面の違いを伝え、来店客にとっての一番の商品を見つけられるPOPづくりを意識している。

 マルチメディア横浜時代には、規格外の大型POP制作にも取り組んだ。

 8台のロボット掃除機を並べ、ボーリング場のレーンさながらの実演コーナーを作った。

 濱田さんは「動きがあるほうが提案しやすいです。各商品を横並びにし、比較しやすい売り場づくりにしました」と話す。サイズ感や動作音が伝わるように設計し、メーカーや売り場スタッフからは販売につながっていると好評だった。

 家電の進化に合わせ、POP制作での注意点も変わってきた。ロボット掃除機のPOP制作で最も苦労したのは、走行する床面にテープを手作業で貼り付けたこと。「最新のロボット掃除機には水拭き機能があって、紙だとボロボロになってしまうんです」と濱田さん。

 テレビ売り場では、背合わせに展示しているテレビの側面に、画面サイズを書いた細長いPOPの設置を提案。テレビの正面に来なくても、画面サイズがわかる売り場になった。側面へのPOP設置は、マルチメディア千葉でも取り入れている。

販売員時代の経験

 企画担当となり、販売の最前線には立たなくなった濱田さんだが、毎日店内の見回りを欠かさない。来店客目線で装飾が足りない箇所をPOPで埋めていく。

 濱田さんは、2001年にヨドバシカメラに新卒入社し、新宿西口本店(東京都新宿区)のテレビ販売員からキャリアをスタート。

 本社でPOP制作を担当した後、再び新宿西口本店に異動し、パソコン(PC)や周辺機器の販売に携わった。その後のマルチメディア吉祥寺(東京都武蔵野市)では、POP制作の傍らPCを販売してきた。

 早くからPOP制作を担当してきた経験が評価され、家電量販店の激戦区にあるマルチメディア横浜でもPOP制作の大半を担い、移転オープンしたマルチメディア千葉のPOP制作担当にも抜擢された。

【店舗プロフィル】
 JR千葉駅から徒歩2分、京成千葉駅から徒歩1分。11月15日に、旧店舗から徒歩2分の「ヨドバシHD千葉ビル」に売り場を大幅拡張して移転オープンした。売り場面積は旧店舗の約3倍、総売り場面積は約1万3000平方メートル。