2025.06.23 車載向け通信半導体を医療・産機に展開 バレンズ

井口氏はA-PHY準拠製品について「安く広く使ってもらいたい」と話す

VA7000シリーズ製品を搭載したデモ展示VA7000シリーズ製品を搭載したデモ展示

 イスラエルのファブレス半導体メーカー、バレンズ・セミコンダクター(バレンズ)が、車載向け高速通信規格に対応する製品を医療・産業機器分野にも展開しようと、アピールに力を入れている。日本市場の開拓に向けて、展示会への出展などにも積極的だ。

 カメラのセンサーデータをはじめ、映像のような高帯域幅が必要になるデータを、高速・安定的に長距離伝送できる通信規格が「MIPI A-PHY」(ミピ・エーファイ)だ。バレンズのコア技術を基に開発された自動車分野向け標準規格として広がり、医療・産業機器分野への展開も見込まれている。

 バレンズは11日から3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開かれた「画像センシング展」に出展した。バレンズジャパンでジェネラルマネージャーを務める井口信太郎氏は「これまで自動車分野に注力してきたが、今回は産業系にフォーカスした。来場者からはコアな質問が多く、実装までのスピードも早いと感じる」と、手応えを強調した。

 展示したA-PHY準拠製品は「VA7000」シリーズ。10~40メートルの距離を4~8ギガビット毎秒(Gbps)という通信速度で伝送できる。高精細な4K映像の伝送にも対応が可能だ。ノイズキャンセル、エラー訂正、データ再送といった機能を搭載し、ノイズに強いという。

 日本市場への産業向けカメラメーカーの展開は、既にデザインの段階まで進んでいる。自動車分野では、完成車メーカーと直接取引する部品メーカー「Tier1」なども加わり「じっくり技術評価を始めている」(井口氏)段階だ。医療分野では、内視鏡メーカーとの商談が進んでいるという。

<執筆・構成=半導体ナビ