2025.07.04 越境ECの不安解消 米イーベイが偽造品対策サービスを日本にも提供

事業戦略を説明するイーベイ・ジャパンの岡田雅之社長=東京都渋谷区

 米電子商取引(EC)大手イーベイの日本法人、イーベイ・ジャパン(東京都渋谷区)が、本物か偽物かを見分ける「真贋(しんがん)」の保証サービスの強化に乗り出した。信頼性の高い越境ECの実現を後押しする狙いだ。

 今回拡充するのは、無料で高額商品を鑑定し認証された商品のみバイヤー(買い手)に届ける「eBay真贋保証サービス」。1部のセラー(売り手)に限定していた同サービスの対象を日本の全セラーに拡大。対象カテゴリーも、従来のハンドバッグに加えて、ジュエリーや腕時計を新たに追加した。

 バイヤーが保証サービスの対象商品を購入すると、セラーが日本の鑑定センターに発送。そこでプロの鑑定士が、鑑定や状態のチェックを行う。最終的に、認証された商品のみをバイヤーへ届ける。

 経済産業省のEC市場調査によると、2021年に約7850億ドルだった市場規模は、30年には7兆9380億ドルに拡大する見通しだ。保証サービスの拡充には、ハンドバッグやジュエリーなどの高額商品を安心して取引できる越境ECを実現したいという狙いがある。

 イーベイ・ジャパンによると、米トランプ政権の関税政策による不安を押しのけ、人気のトレーディングカードが飛躍的に成長する見通し。1~3月期に日本セラーから出品されたアイテムの販売動向をみると、来年30周年を迎える「ポケモンカード」など、収集を楽しむ商材が昨年同期比で2倍近く成長した。

 加えて、鈍化傾向にあった腕時計などの高級商材の再熱も見込まれる。品質を保証するプログラムも国内全セラーを対象に3月から始まっており、中古カメラ市場への追い風となりそうだ。

 イーベイは190以上の市場でセラーとバイヤーを支援するマーケットプレースで、24年に約750億ドル(約11兆円)の取引高を達成。日本からの販売額は、トップの成長率を記録している。

 東京都内で開かれた説明会で、イーベイ・ジャパンの岡田雅之社長は「本社からの期待は大きく、もっと知名度を高めていきたい。越境ECの第一人者として、セラーの声を反映しサポートを充実させていく」と力を込めた。