2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】ロチェスターエレクトロニクス 製造中止品など安定供給に注力
米ロチェスターエレクトロニクスは、主要半導体メーカーと契約し製造中止(EOL)品の正規在庫を取り扱うほか、再生産も担う代理店兼メーカー。各社の現行品も販売してグローバルで事業を拡大する。
2025年前半の日本の現行品市況は、コロナ禍後に崩れた需給バランスが緩やかになりつつあるが買い控え傾向が続く。紛争、関税など複雑な国際情勢が「市況の鈍化へとつながることを懸念している」と同社日本オフィスの藤川博之代表。
EOL品は需要が拡大。メーカーは、半導体の周期的な需給変動、シリコンサイクルの底で合併買収を進めて投資対効果を高めようと「開発戦略が先鋭化し、新製品を作り、低利益率の古い製品を止める速度が上がっている」(藤川代表)。
供給側でEOLが増え、需要側では新製品開発と既存製品はメンテナンス製品への戦略を明確化する傾向へ移行する。
EOL加速を背景に顧客の希望は、第一に安定供給のための品ぞろえ拡充となっており、昨夏からスイスのユーブロックス、米マックスリニア、米アブラコンと順次パートナー契約を結ぶほか、米ブロードコムから通信・産業用製品販売の認定を取得した。
既存パートナーでは蘭NXPセミコンダクターズの「QorIQ(コア・アイキュー)」プロセッサーや独インフィニオン・テクノロジーズの「ニューロン」ブランドのネットワーク制御製品も扱う。既にパートナーは70社以上だが、「なお拡充が必要」(藤川代表)と、今期前半に契約したロームから製品移管を早期に進める。
もう一つの顧客の希望は直接的な対話だ。接点が多様化し、従来の購買、技術に加え、品質、環境部門からの連絡もある。対応部署を増強して技術者が代替提案を行うほか、夏季にウェビナーも予定している。
目を引く成果では24年から注力する中長期的供給網管理の提案が顧客の賛同を得た。正規在庫とメーカー機能を生かし再生産品の両輪で進める。市場別では産業機器、医療機器、通信、輸送、防衛に着目する。