2025.07.31 【家電流通総合特集】地域店の後半戦施策 秋商戦に向け準備 LED照明やエアコンに注力

藤倉電気は在庫消化セールを実施している

ナショナルヤガタは9月に物産展を兼ねたフェアを予定ナショナルヤガタは9月に物産展を兼ねたフェアを予定

個展やフェアで商戦に弾み

補助金継続活用で需要獲得

 気温の高い日が続いているが、全国の地域電器店は、秋商戦に向けた準備を進めている。蛍光灯の製造と輸出入が禁止される「2027年問題」を切り口としたLED照明の提案や、残暑が厳しくなることを見越したエアコンの訴求をしていく。個展などのイベントを開催し、商戦を盛り上げようとする店もある。

セールなど開催

 パナソニック系の藤倉電気(栃木県佐野市、藤倉圭太専務)は、LED照明の販売に注力する。秋商戦の準備として、「在庫消化セール」での販促に取り組んでいる。

 セールでは、旧材の処分を目的とした佐野市の補助金対象外の商品を特別価格で販売している。LED照明は通常価格から期間限定での値引きに加え、パナカードでの決済でさらに割引を行い、お得に購入できるようにした。

 セールの期間は7月1日~8月31日。お客宅訪問時にチラシを配布して呼びかけを行っている。

 藤倉専務は「すぐに購入につながることは少ないが、一声かけておくことが大切だ」と話す。

 まみねでんき(東京都品川区、小谷野敬子社長)は、エアコンと並行してLED照明を訴求する。

 エアコンは、昨年、積極的に買い替えを訴求していたこともあり、今年は依頼が少ない。ただ、天気予報やニュースなどで10月まで依頼があるとみている小谷野社長は問い合わせがあるとすぐ対応できるようエアコンを準備している。用意しているのは問い合わせが多い中~下のタイプ。

 9月13、14日は徒歩10分圏内にある戸越八幡神社の祭りがある。祭り中はみこしを担ぐため、その間は工事ができない。9月までにエアコン工事を優先的に行う。

 並行してLED照明を提案する。同店が位置する戸越銀座商店街では9月から引っ越しが増えるという。常連のお客が引っ越し先用に蛍光灯をまとめ買いをしようとすると、蛍光灯があと2年で生産終了になることを伝えて、LED照明を訴求する。

 日立チェーンストールのかとうでんき(奈良県大和郡山市、加藤功社長)もエアコンとLED照明に注力する。

 エアコンは、近年10月に入っても暑さが続いていることから、設置の依頼があるとみている。

 加藤社長は「5年ほど前から動きが変わってきている。昨年は、10月ごろまでエアコンを使っていたこともあり、パラパラと依頼があった」と話す。

 LED照明は、2年ほど前から夏と年末に開催する売り出しのチラシで27年問題に触れてきた。これまでは、LED照明の値段とともに軽く触れる程度だったが、今年の6月に配布したチラシでは、A4用紙1枚を使い、大きく取り上げた。

 リビングなどは、6割ほどの顧客がLED照明を使用しているが、外灯など使用頻度が低い場所は、蛍光灯を使っていることが多い。

 加藤社長は「27年問題の話をするとLED照明に替えるお客さまが多い。電気代が安くなることを伝え、早めに替えるよう促していく」と話す。

 補助金を活用し、販売に取り組む店もある。

 なりたでんき(青森県弘前市、成田正志代表)は、国の補助金「住宅省エネキャンペーン」を活用したエコキュートの販売に取り組んでいる。また、断熱効果を高める内窓の設置依頼もあり、エアコン販売が落ち着いてから見積もりを提出しながら成約につなげることにしている。

 補助金を使って給湯器、家中の窓全部に内窓の設置をする依頼がある。今後、エアコンの販売や設置が少し落ち着いてくることも予想されるため、見積もり依頼などの作業を行っていくことにしている。

 成田代表は「エアコンの販売、設置、発生業務中心に対応している。今後は、補助金を活用した給湯器や見積もり依頼のある内窓の設置などにもしっかり提案も行いながら取り組んでいきたい」と話す。

 パナソニック系のグループ・セブンプラザ(本部=鹿児島県鹿屋市)は、4月から9月にかけて補聴器に取り組んできた。顧客の「めんどうみ活動」を重視する同グループでは、チラシでPRするなど、最終月の9月に向けて力を入れていく。

 個展やフェアを開催し、商戦に弾みをつけようとする店もある。

 ナショナルヤガタ(名古屋市千種区、矢形修己社長)は、9月に物産展を兼ねたフェアを開催する予定だ。

 ここ数年さまざまな物産展を行っており、新規客などが3割増に。9月12日から14日の3日間は大分の物産展を兼ねたフェアを実施する。大分のゆるキャラ「めじろん」が来店し、きこエール dBチェック(補聴器)、「ビストロde 腸活」、すこやかマルシェ(美容・健康消商品の体験)、リラックスハンドマッサージ、覚王山・本山のんびりウォーキングなどを行う予定。

 パナソニック系の平和デンキ舟入本店(広島市中区、船本益広社長)では、9月にも個展を開催する予定だ。秋は調理家電に力を入れる。7月の個展ではちょうど備蓄米が話題に上がっていて、新製品の高級炊飯器などに来店客の関心が高かった。パレットセールの時期でもあるので、レンジや炊飯器などを実演して訴求する。

 毎年秋にリフォームフェアを開催しているのは東芝ストアーのグループ・TOPチェーン(本部=広島市南区)で、今年も10月に予定。メーカーショールームを借りて実施することで、システムバスやキッチンの実物を見てもらい、販促につなげる。