2025.09.21 歯科健診にもデジタル化の波 自治体DX支援のミラボが実証実験を拡大

患者の問診履歴を確認できる「mila-e 健診」

スマートフォンで手軽に問診票への入力が行えるスマートフォンで手軽に問診票への入力が行える

 歯科健診の分野で、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するミラボ(東京都千代田区)が存在感を高めている。同社は東京都内で、千代田区在住の成人を対象にデジタル問診票サービスを用いた実証実験を推進。今夏からは実験に参加する歯科医療機関の範囲を拡大しており、今後の展開に注目が集まりそうだ。

 同社は、昨年12月から3カ月間の日程で、デジタル問診票サービス「mila-e(ミライー)健診」を活用した実証実験を進めてきた。対象は19歳以上の成人歯科健診受診者で、3機関が参加した。その実績を土台に参加機関を8機関に増やし、第2次の実験を6月に始めた。期間は11月まで。

 対象の区民は受診したい歯科医療機関に予約し、ペーパーレスで受診したいと要望。その上で、2次元コードやリンクを経由してmila-e 健診にアクセスし、アカウントを登録。続けて問診票に入力し、受診機関へ提出する。その上で予約日に来院し、受診結果をスマートフォンなどで確認するという流れ。

 こうした仕組みによって、紙で健診情報を管理する作業を効率化できる。mila-e 健診を用いてペーパーレス化を実現した自治体の多くで、業務時間が1カ月あたり約35時間の削減という効果が得られた。

広範なライフステージに寄り添う

 同社は、子どもや子育てに携わる人々を切れ目なくサポートしようと、妊娠・出産・育児期の健康管理を支援する「母子手帳アプリ」をはじめ多彩なDXサービスを展開。400超の自治体が導入する実績を積み上げてきた。今後も、産後の母子から高齢者に至る広範なライフステージに寄り添って、DXの支援に力を入れていく方針だ。

 デジタル化の波が全国各地に広がる中、同社営業部ゼネラルマネージャーの高野正伸氏は、日本全体のDX推進に向けて自治体と共創しながら課題解決に挑む姿勢を強調。「(DXサービスで蓄積した個人の)データを継続的につなげ、早期発見や一人一人の不安を解消し健康な生活に伴走していきたい」と述べた。フィールドセールスチーフの加藤裕太氏も、「医療現場の声を吸い上げ、より使いやすいサービスにしていきたい」と意欲を示した。