2025.11.19 STM、18nmプロセス技術による最速「MCU」開発 来春販売へ

STM のMCU「STM32V8」

 
 

 スイスのSTマイクロエレクトロニクス(STM)は18日、業界初の18ナノメートル(nm)FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)プロセス技術を採用したマイコン(MCU)「STM32V8」を開発したと発表した。

 一部の主要顧客へは、サンプルを出荷中。一般向けは、2026年第1四半期の販売予定。生産は同社フランス・クロレにある300ミリウエハー工場だが、受託生産のサムスン・ファウンドリーとも協業する計画だ。

 MCUのコアには「Arm Cortex-M85」を搭載し、4MBの相変化メモリー(PCM)を内蔵している。クロック速度は最大800MHzで、同社のSTM32シリーズ MCU製品では最高性能という。SRAMは最大1.5MB、高速メモリーの一種TCM(タイトリーカプルドメモリー)は最大512KB,、バックアップRAMは8KB。

 今回のMCUは、SpaceX社の衛星インターネット「Starlink(スターリンク)」に採用されたほか、ロボット、モーター制御などの各種産業制御やエッジAI(人工知能)などの用途が想定されている。Starlinkでは、低軌道(LEO)上を超高速で周回する衛星に接続するミニレーザーシステムに使用される。

 スペースXのマイケル・ニコルズ副社長(スターリンクの技術担当)は「18nm FD-SOI 技術のお陰で厳しいLEO環境において高信頼性と強靭性が達成できた」とした上で、「STM32V8を他のシステムにも利用したい」と述べた。