2025.10.08 車向けセンシングシステム量産開始 STとトビー
1台のカメラで運転者や車内を同時モニタリング
スイスのSTマイクロエレクトロニクス(ST)とセンサー開発を手掛けるスウェーデンのTobii(トビー)は、自動車向けに車内カメラ用センシングシステムの量産を開始した。トビーが開発、STが欧州の工場で生産する。量産規模や工場名は公表していない。
トビーはアイトラッキング(視線計測)技術の開発企業として知られている。視線計測は人の目の動きをリアルタイムで追跡し、どこを見ているかを解析する技術。今回の提携は欧州の高級車メーカー向けに供給される車内のセンシングシステムの量産開始で、欧州の多くの自動車メーカーによる採用を目指すという。
このシステムは、トビーが得意とする人間の注意や意図をAI(人工知能)と信号処理で解析するAttention-computing(注意処理)技術と、主に自動車用に設計されたSTの先進イメージセンサー「VD1940」を一体化している。VD1940は単一の5.1MP(メガピクセル)のハイブリッドピクセル設計。RGBと夜間のIR(赤外線)に対応、視野角は車内全体の光景をカバーし、これまでにない画質を提供する。昼夜を問わない高画質な車内環境を監視すると両社は説明する。
VD1940はSTのセンサー技術「SafeSense」プラットフォームにより機能の安全性とサイバーセキュリティーを確保している。STは、自動車メーカーの要望に応じてシステムの量産対応が可能とし、「ティア1」クラスのサプライヤーやトラックメーカーへの供給準備も整っているという。
STのアレクサンドレ・バルメトフレゾル執行副社長は「トビーとの提携でキャビン内のセンシング技術を自動車業界へ広げることができる」とコメントした。