2025.12.16 過去最高の世界生産額さらに更新へ 生成AIなど先端技術が市場けん引 JEITA、26年電子情報産業世界生産見通し
記者会見で26年の見通しを説明する漆間会長=16日、東京都千代田区
電子情報技術産業協会(JEITA、漆間啓会長=三菱電機社長CEO)は16日、2025年の電子情報産業の世界生産額見込みと26年の見通しを発表した。
25年の電子情報産業(電子工業+ソリューションサービス)の世界生産額見込みは前年比11%増の4兆1184億ドルで、史上初の4兆ドル超を見込む。26年の見通しも、25年見込み比10%増の4兆5103億ドルと好調な伸びを予測している。
同日午前に東京都内で行われた記者会見で漆間会長は、「25年は世界的なデータセンター(DC)需要の拡大や生成AI(人工知能)の普及を背景に、半導体、電子部品、ソリューションサービスが軒並み好調に推移した。26年は、生成AIをはじめ、IoTや自動運転、スマートファクトリーなどの先端技術のさらなる普及、高性能サーバー・ストレージとそれを支える半導体の伸長を背景に、過去最高を更新する見込み」と説明した。
品目別では、25年、26年ともに、半導体や電子部品、サーバー・ストレージ、ソリューションサービスが過去最高を更新する見通しで、「AI・データ駆動型社会への構造転換が鮮明になっている」(漆間会長)とした。
25年の日系企業の世界生産額見込み(海外生産分を含む)は前年比2%増の41兆8134億円を見込む。Windows10サポート終了に伴うパソコンの買い替え需要が堅調で、生成AIの普及を背景にした半導体や電子部品、ソリューションサービス需要も全体を下支えした。26年も、デジタル化投資の加速によりソリューションサービスが着実に成長し、電子部品・デバイスも堅調に推移する見込みであることから、25年見込み比3%増の43兆1450億円となる見通し。
国内生産額は、25年が前年比2%増の11兆5466億円。26年は25年見込み比3%増の11兆9116億円に伸長する見通し。
また、JEITAが同日発表した「データセンターサービスの市場見通し」によると、2030年のDCサービス世界市場は1兆7200億ドルで、25年比で2倍超の市場規模となる見通し。2030年のDC関連製品市場は1兆6907億ドルで、25年比で約2.5倍となる成長を予測している。DC関連製品市場は、インフラの高度化に向けた投資によって、GPU(画像処理半導体)やCDU(冷却分配ユニット)、サーバー、ネットワークスイッチ、SSDといった主要コンポーネントが市場をけん引する見通し。
漆間会長は、同協会が今回、DCサービスの市場見通し調査を実施した背景について、「世界情勢が不透明さを増す中、経済安全保障の重要性はかつてなく高まっている。データとデジタル基盤は、国家の機能を左右する新たな戦略資源になりつつあり、とりわけDCは、行政、産業、国民生活の全てを支える基盤インフラに位置付けられている」と説明。今後のAI活用による経済発展について、「各産業分野が現場で保有するデータの重要性が一段と高まっていくとみている。とりわけ、わが国の産業分野の現場で生まれるOT(オペレーショナル・テクノロジー)データは、極めて高品質で有効なデータ。領域特化型AIを活用した生産性向上と付加価値創出の源泉であり、産業競争力と経済安全保障を支える鍵となる」とし、「国内のDC整備は喫緊の課題だと捉えている」と強調した。









