2026.01.12 【電子部品総合特集】電子部品メーカー次世代自動車向けの事業展開を加速 CASEやSDVなどに照準
自動車のxEVシフトは今後も進展する(ホンダの燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」)
電子部品メーカーは、2026年は次世代の自動車開発に向けた技術開発や営業・マーケティングを一段と強化する。ADAS(先進運転支援システム)・自動運転の高度化やxEV(電動車)化は、車載用電子部品市場の成長を促し、SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)化も電子部品の高性能化を促進する。多くの電子部品メーカーは車載市場を最重点市場に位置付け、車載ビジネスの中長期の拡大を目指す。

自動車世界生産台数は、乗用車と商用車(トラック、バス)を合わせ年間9500万台前後に達する。
現在の自動車市場は、CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)やSDVなどをメガトレンドに大変革期を迎えている。これらは自動車の高機能化を促し、カーエレクトロニクス技術の高度化を促進する。このため車1台での電子部品搭載量は右肩上がりで推移し、車載用電子部品市場は今後も車の生産台数を上回る年率1割前後のペースでの成長が見込まれる。
最近は欧米中心にBEV(バッテリーEV)の低迷が顕著で、25年12月にはEU(欧州連合)が「2035年からEU域内での内燃エンジン搭載の新車販売を禁止する」としていた方針の事実上の撤回を発表するなど、これまでのEVシフト一辺倒から巻き戻しの動きがある。日米欧自動車メーカーも、EV投資先送りや新車開発でのEVからHEV(ハイブリッド車)へのモデル変更などが相次ぎ、部品各社も影響を受けている。
それでも、BEVにHEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を加えたxEV全体では今後も成長が見込まれる。特に最近のHEVは想定を上回るペースで生産が増加し、日本の電子部品産業には追い風となっている。
一方、世界最大の自動車市場の中国は今後もBEVを軸に成長する見通しで、最近はBYDなど有力車両メーカーのグローバル展開も加速しているため、日系部品各社は中国系有力EV企業やTier1などへのアプローチを強めている。
26年は、ADAS・自動運転技術の高度化も一段と進み、制御系や安全系の部品需要押し上げが予想される。統合ECU(電子制御ユニット)化も付加価値の高い部品を創出する。
部品各社のサプライチェーン戦略では、最近は自動車業界の地産地消要求が一層強まり、また米中動向次第では顧客の部品調達場所変更などが起きる可能性もあるため、各社は情報収集を通じて最適な供給体制構築を推進する。地域別では、インド市場開拓のための拠点新設を検討する企業も多い。
ADAS・自動運転関連部品
自動運転の実現には、通信性能の高度化や高精度物体認識、高度な車両制御、AI(人工知能)やエッジコンピューティングを含む情報処理などさまざまな技術の融合が必要。電子部品各社は、これらを実現するセンサーや制御デバイス、通信モジュール、ノイズ対策部品、撮像部品、高速伝送用部品などの開発を加速している。
ADAS・自動運転向けセンサーは、高画素センシングカメラやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)などの開発が活発。走行中の車の周辺情報認識のため、近距離検知から長距離検知まで目的別にセンサーが開発されている。車載カメラは、1メガピクセル化が進み、今後は2~3メガピクセル級に移行する見通し。統合ECU向けの高周波部品やプリント基板、ノイズ対策部品開発も進む。
将来の完全自動運転車での車内ビジネスルーム化やリビングルーム化を視野に、音響映像部品の提案も進められている。

電動車用部品
電動車では、インバーター、DCーDCコンバーター、車載充電器、車載電池などのユニットにさまざまな電子部品が使用される。
インバーターやコンバーターは小型で高効率が求められ、高電圧駆動のパワーデバイスが不可欠のため、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などを用いたデバイス開発が活発化している。
こうした動きに伴い、受動部品は、高周波スイッチング、高電圧化対応に弾みがついている。コンデンサーは、小型、大容量、長寿命、低ESRなどの特性が追求され、抵抗器は小型で高電圧、大電力、低抵抗化が進むほか、トランスやコイルは、小型で低損失、高効率化などが求められる。
xEVは一充電での走行距離向上に向け車体軽量化も重要なため、部品の軽量化も重視される。モーターとインバーター、ギアを一体化したユニットであるEアクスル用の部品開発も進む。

安全・快適系部品
最近の新車では、乗員の安全性や快適性、利便性向上のための機能が増加し、電子部品の新規需要を創出している。パワーウインドーやヘッドランプ光軸調整、電動パワーシート、オートスライドドアなど多岐にわたり、今後も標準搭載化と新機能創出が見込まれる。
センサーは、車室内の温湿度を検知しエアコン制御と連動させることで乗員の快適性や燃費向上を図るソリューションなどが提案されている。自動車ガラス曇り止めセンサー開発も進む。
多発する車内幼児置き去り事故を教訓に、車室内監視用にミリ波レーダーや4Dイメージセンサーなどを提案。レーダーやRF活用により、外光の影響を受けない高精度検知やプライバシー配慮も図る。
自動走行レベル3以上では、運転者の体調を車自身が把握し、自動運転モードと手動モードの切り替えを行うため、生体監視システム用センサー開発にも力が注がれる。











