2026.07.06 【電子部品技術総合特集】電子部品各社、地政学リスク対応強化 ホルムズ海峡不安定化に備え

 電子部品メーカー各社は、2026年度も積極的な研究開発活動を推進する。電波新聞社がこのほど主要電子部品メーカーを対象に実施した「技術関連アンケート」によると、26年度の研究開発費は多くの企業が前期比増額を計画している。新製品開発の重点分野は、自動車関連を筆頭に、データセンター(DC)関連、FA・制御機器関連などを重視する傾向が示された。30年以降に向け、サーバー/DC関連市場への期待が一段と高まっていることもわかった。アンケートは、6月上旬に各社へ用紙を配布し、6月29日までに回答があった27社を対象に集計・分析した。

安定供給へBCP徹底
 最近の世界では、地政学リスクの高止まり、地域紛争の増加、大規模自然災害の増加など、予測困難なリスクが増えている。直近では、米国、イスラエル、イランを巡る中東情勢の緊迫化に伴い、ホルムズ海峡の不安定化が今後のサプライチェーンに与える影響などが懸念されている。このため、電子部品各社は、BCP(事業継続計画)を重視した生産・開発体制の再構築を進めるとともに、材料調達先の多様化やグローバルでの情報収集活動強化などを図り、顧客への供給責任の確保に努めている。

 最近の世界は、将来の予測が難しい「BANI(バニ)」(もろい・不安・非線形・不可解)の時代に入ったともいわれる。電子部品各社は、そうした状況下でも安定的なモノづくりを継続していくため、開発、製造、調達、物流などあらゆる面で強固なサプライチェーンを構築し、突発的なリスクにも迅速に対応する社内体制の整備に全力を挙げている。

 当面の課題となる中東情勢の緊迫化については、「直接的に事業への大きな影響を受けている」という部品メーカーは少ないものの、ホルムズ海峡の不安定化が長期化した場合への懸念は強い。

 電波新聞社が主要電子部品メーカーを対象に実施したアンケートによると、回答27社中、「影響を受けている」「やや影響を受けている」と答えた企業の合計は19社で、全体の7割に上った。

 同じ設問で「影響を受けている」と回答した企業に「具体的な影響の中身」(複数回答)を聞いたところ、「調達部材の購入価格高騰」が18社と最も多く、「調達困難な部材がある」とした企業も14社を数えた。「電気代や物流コスト上昇」も各社の経営に影響を与えている。

 「ホルムズ海峡封鎖への対応策」(複数回答)を聞いたところ、「客先への部品値上げ交渉」を進める企業に加え、「コスト吸収のための生産性改善などを推進」「部材調達先の多様化」「代替品への置き換え」「輸送ルート・物流体制の見直し」など、自助努力による課題解決に力を注ぐ企業が多かった。

 近年の世界の産業界では、毎年のように想定外の出来事が発生している。サイバー攻撃による企業の情報流出多発などもその一つだ。電子部品各社はリスク管理体制を一段と強め、安定的な事業運営を目指す。

アンケート回答企業一覧(27社・五十音順)
▽旭工芸▽アルプスアルパイン▽NKKスイッチズ▽オータックス▽岡本無線電機▽岡谷電機産業▽釜屋電機▽キムラ電機▽京セラ▽ケル▽双信電機▽太陽誘電▽タムラ製作所▽ツバメ無線▽トーキン▽ニチコン▽日本ケミコン▽日本航空電子工業▽日本シイエムケイ▽日本電波工業▽ヒロセ電機▽北陸電気工業▽ホシデン▽ポニー電機▽ミネベアミツミ▽山一電機▽ヨコオ