2020.09.01 【防災の日特集】コロナ禍で地道な情報発信家庭と企業で備える
家電量販店では防災コーナーが存在感を示す
近年、地震や台風などの自然災害が多発し、防災に対する意識が高まっている。そうした自然災害が起こりやすい台風シーズン真っただ中の9月1日は「防災の日」だ。内閣府は防災の日を含む1週間を「防災週間」として、防災知識の普及や啓発活動を毎年行っている。今年は、新型コロナウイルス感染拡大で密集を伴う大型イベントなどは難しいが、メーカーを含め地道な情報発信で、防災意識を高める取り組みを行っている。
防災の日は、1923年9月1日に発生した関東大震災に加え、台風が多く発生する二百十日(立春から210日目)が9月1日ごろであることが制定の由来になっている。60年に制定された。
防災推進協議会の協力で、内閣府政策統括官(防災担当)が運営するWebサイト「TEAM防災ジャパン」は、防災関連ニュースや活動を紹介する防災関連ポータルサイトとして、全国の情報を発信している。コロナ禍の今年は、「コロナと災害」というテーマでTEAM防災ジャパンのオンライン会議を6月に開催するなど、社会環境の変化に合わせた取り組みを行ってきた。
10月3日には、防災関連で日本最大級のイベント「ぼうさいこくたい2020」が内閣府主催で開催される。5回目となる今年は、新型コロナ流行を受けてオンラインで開催するが、100を超える団体が参加予定だ。防災への関心は年々拡大しており、多くのメーカーが様々な製品で防災を意識した製品開発を進めている。
11年3月に発生した東日本大震災をはじめ、北海道や熊本など大型地震に何度も日本は見舞われた。昨年9月に千葉県に上陸した台風15号や同10月の台風19号がもたらした災害は記憶に新しく、台風シーズンの現在、家電量販店でも防災コーナーが存在感を高めている。
気象庁のデータでは8月27日現在、台風発生件数が今年は8件と、19年の12件、18年の21件(いずれも8月時点)より少ない。日本への上陸数はいまだ「ゼロ」。しかし、9月以降も台風は発生する。19年までの過去10年間では、9月以降に日本に上陸した台風は全体の4割を超える。気を抜かず、災害への備えは常に必要だ。
一般的に備蓄には「3日分×家族の人数分」が必要と言われている。大規模災害発生時の3日間(72時間)は人命救助が優先されるため、災害初期を乗り切るための最低限の備蓄量に当たるからだ。
日本気象協会が20代から40代の女性を対象に実施した「家庭の備蓄状況」に関するアンケートでは、必要とされる備蓄量を知っていた人は5割を超え、前回調査(18年)よりも増えている。3日分×家族の人数分を備蓄できている人も3人に1人と、前回調査から約1割アップした。
また、新型コロナの流行というこれまでにない社会環境となった今回は、備蓄量を増やしたという人も約25%いた。コロナ禍が防災意識をいっそう高める契機にもなっているようだ。
家庭での備蓄はいざというときの備えであるため、定期的な点検は欠かせない。すぐに取り出せる場所に保管しておくことが重要だ。普段から少し多めに食材や生活用品を購入しておいて、日常で使った分だけを新しく買い足していく「ローリングストック」の実践も大切になる。
また、スマートフォンの普及により災害情報などを迅速に得られるようになった半面、バッテリは常に充電しておく必要もある。情報だけでなく、ライト代わりにもなるスマホは災害時にかなり重宝される機器だ。常に充電を切らさないよう充電器の備えと、手回しで充電できるような機器を保管するなどの対策を打つ必要もある。
企業側としてもBCP(事業継続計画)の策定など災害時を想定した活動に普段から取り組んでおかなければならない。家庭での備えと企業での備えという両方が、防災面からは求められている。