2020.09.15 【関西エレ産業特集】MaaS新たなモビリティシステムへ実証実験
J:COMの複数人が相乗りできる大型車両
関西では、MaaSの実証実験が拡大している。国土交通省のMaaSのモデル構築を図る「日本版MaaS推進・支援事業」では選定された全国38事業うち6事業が関西エリアから選ばれた。ほか、新たなモビリティシステムの創出に向けた実証実験なども各所で実施。地域課題の解決に向けて各所が連携して実証実験を展開している。
国土交通省では、昨年から地域特性に応じたMaaSの実証実験への支援を展開。昨年度は19事業を支援しており、うち、関西は4事業。20年度(令和2年度)は新たなMaaSのモデルとなり得る38事業を選定。うち、6事業が関西エリアだ。
そのうちの一つ、滋賀県大津市の事業は10月中旬からの実証実験開始に向けて調整中。参加事業者は大津市、京阪ホールディングス、京阪バス、日本ユニシス。大津市は昨年度のMaaS実証実験支援の事業に採択されており、昨年11-12月に大津市内、比叡山で実証実験を実施。期間中はアプリを配信し、大津市内、比叡山の観光地にスムーズにアクセス可能な1日乗車券を販売。アプリのダウンロード数が2808件、乗車券販売枚数は1398枚となった。
今回の実験内容は、住民向け・観光客向けMaaSを設定。各エリアに特化したマーケティングや交通対策、イベント・店舗の誘致などに活用することを目的に取得する流動データを活用。移動データやクーポンの利用実績などと組み合わせて分析を行う。アプリは観光MaaSアプリ「ことことなび」を採用する。
ジュピターテレコムは、営業スタッフ複数人が相乗りできる大型車両(専属ドライバーが運転)を導入し、営業スタッフの送迎サポートを行う「J:COM MaaS」(ライドシェアサービス)の実証実験をJCOM堺のエリアでスタートした。大阪府堺市・和泉市ほかで8月16日から12月31日(予定)まで行う。
営業スタッフの訪問先への移動を、複数人が相乗りできる大型車両(専属ドライバーが運転)でカバー。複数人の営業スタッフの運転や移動などの活動を1台の送迎サポート車で賄う。堺エリアでは3台を用意する。
この実証実験を踏まえて、病院などの特定施設へ移動できるサービス、生鮮食品や生活用品、料理のデリバリサービスなど、日常の移動をより便利にするサービスの提供を検討する。
大阪府、大阪大学、日本自動車工業会二輪車特別委員会の3者は9月から、電動二輪車普及のための実証実験「e(ええ)やん OSAKA」を、大阪大学のキャンパスがある大阪府北部(吹田市、豊中市、箕面市)地域で実施。大阪大学の学生・教職員に二輪EV20台を有料で貸与する。キャンパス、周辺地域のローソン10店でバッテリ交換ができる拠点を置いて、1年間実験する。
使用するバイクは二輪EV「Honda BENLY e:Ⅰ」(原付1種、50cc相当)。今回の実証の結果を踏まえ、普及に向けて大阪府内での実証サービス拡大も検討する。