2020.12.24 廃プラリサイクルの動き加速飲食ごみ地域で循環、家庭の分別拡大仕組みづくりへ

廃プラをケミカルリサイクルできる昭和電工のプラント。高さ約60メートルある

 世界的に関心が高まる海洋のプラスチックごみ問題などを受け、国内でも廃プラスチックのリサイクルに向けた動きが加速している。循環型や脱炭素社会の実現という課題も加わり、飲食店から出るごみを地域で資源として回す初の実証を大手外食チェーンなどが実施中だ。家庭ごみからの回収率を高めるため、国も新たな仕組みづくりの検討を進める。

今回の実証のイメージ図

 実証は川崎市と日本マクドナルド、昭和電工が協力し、市内のマクドナルド8店舗で使い終わったカップのふたなどプラスチックを、エネルギーなどに変えて地域で循環させる取り組み。「マクドナルドを起点に廃プラがエネルギーとなって一周する。川崎市を舞台に、地域循環型社会の形成が、ここでできる」(日本マクドナルド)という。

燃料電池自動車から電動バイクに充電される

 具体的には、店舗でお客が分別し回収した廃プラを、同市臨海部にある昭和電工川崎事業所に集め、同社の技術を活用して水素に変換。燃料電池自動車に充填(じゅうてん)して電気を起こし、再び市内の店舗のデリバリ用電動バイクに充電することで、エネルギーとして再利用する流れだ。店舗の廃プラは従来、焼却処分していた。

廃プラは処理されて、マクドナルドのデリバリ用バイクで活用される

 川崎事業所のプラントでは廃プラを破砕し、低温(600度)と高温(1400度以上)の2段のガス化炉を通す。低温で有機物をガス化した後、不純物を精製して水素などを取り出す。「ガス化の工程ではいったん反応が進むと、外から一切、化石燃料を入れずにプラスチックのエネルギーだけでガス化できる」(昭和電工)という。プラスチック自体の熱量で反応が進んでいくためだ。プラントでは日量約195トンの廃プラを投入し年間約6万トンを処理。1日当たり30トンの水素を生産できる。

地球温暖化で注目

 こうした処理法は、高温で化学的に分解して化学製品の原料などとして再利用する「ケミカルリサイクル」と呼ばれる。

 化学メーカーなどでつくるプラスチック循環利用協会(東京都中央区)が公表している統計を基に川崎市がまとめたデータによると、全国の産廃プラスチックリサイクル(18年度)で、再生して利用しているのは全体の33%ほど。うちプラスチック製品の原料として再利用する「マテリアルリサイクル」が30%を占め、ケミカルリサイクルは残りの3%ほどにすぎない。

 「全国的に見ても、ケミカルリサイクルは進んでいない」(川崎市国際戦略本部)のが実態だ。燃料として燃やし、電気などのエネルギーを取り出す「サーマルリサイクル」が54%で過半を占める。

 プラスチックを再生利用するリサイクルの難しさの原因として様々な種類が混ざり処理が難しいことや、食品かすなど汚れの付着などが挙げられる。リサイクル率を高めるには、処理法によって対応できる廃プラに差があることにも注意が必要だ。マテリアルリサイクルは単一の素材で汚れがないことが前提となり、「条件は厳しい」(同)ものの、工場からまとめて出る廃プラはプラスチックの種類が明確で、汚れが少ない一定量が集まるため、マテリアルリサイクルに最適。

 一方、飲食店や店舗などから出るものには汚れなどがあってマテリアルリサイクルには適さず、多くが、比較的処理が容易なサーマルリサイクルに充てられてきた。ただ、地球温暖化問題の観点から見れば「燃焼させる分、二酸化炭素がそのまま出てしまう」(プラスチック循環利用協会)というデメリットが。そこで浮上した技術がケミカルリサイクルだ。素材のばらつきや汚れがあっても一括処理が可能で、安定的に大量にリサイクルできる。

エコな社会を導ける

 川崎事業所のリサイクル技術について、同事業所プラスチックケミカルリサイクル推進室は「プラスチック問題と、地球温暖化問題を同時に解決するエコな社会を導ける」と胸を張る。川崎市での実証は今月末まで行われ、収集運搬時に排出されるCO₂量なども算出する。ケミカルリサイクルを地域などに広げる課題を洗い出していく。

プラ製品分別回収、新法も視野

 家庭から出るプラスチックごみに対する新たな仕組みづくりも進む。

 国は19年5月策定の「プラスチック資源循環戦略」で、マイルストーンとして35年までに使用済みプラスチックを100%リユース、リサイクルなどして有効利用することを初めて明記した。プラスチックに対する包括的な戦略をまとめたこと自体が初めて。

 これを基に環境省や経産省は、これまで自治体などが家庭から分別回収してきたプラスチック製容器・包装に続き、ハンガーやバケツ、玩具などのプラスチック製品も分別回収する方向で検討。体制整備を自治体に促す想定で、新たな法律の制定も視野に入れて迅速に対応していく方針だ。

 00年4月に完全施行した容器包装リサイクル法に基づき構築されたプラ容器包装のリサイクルルートを活用し、プラ製品も効率的にまとめてリサイクルできるような仕組みを目指す。プラスチック循環利用協会の18年の統計では、家庭から出されたプラ容器や包装などは約330万㌧、今回対象になる玩具などは約50万㌧だった。

 同戦略の具体策として、7月から小売業にレジ袋の有料化を義務付けるなど、施策は動きだした。環境省リサイクル推進室は、家庭からの分別回収が「プラスチック資源の有効利用、リサイクルの拡大につながる」としている。