2021.02.02 【コネクタ特集】中長期視点で成長継続自動車関連などで回復基調
PCIe Gen4対応の高速伝送用基板対基板コネクタ
コネクタメーカー各社は、中長期の成長に向けた事業戦略を強化している。第5世代高速通信規格5Gや、自動車の電子化・電動化、スマートファクトリー化などの市場変革が進む中で、携帯端末や自動車、産業機器/インフラなど、あらゆる分野で技術革新や市場革新が進んでいる。昨今のコロナ禍も、これらのデジタル変革の動きを一層加速させている。各社は、次世代に向けたR&Dや、グローバルでの営業・マーケティング活動を強化することで、今後も持続的な成長を目指す。
コネクタのグローバル需要は、世界経済成長の波に乗り、13年から18年にかけて長期にわたる拡大基調が続いた。米調査会社B&Aのレポートでも、世界のコネクタ市場は、17年、18年と2年連続で2桁成長を達成した。
一方で、18年秋以降は、米中貿易摩擦を起点とした中国経済の停滞などにより需要が軟化。19年も米中摩擦の長期化に伴う自動車需要や設備投資需要の低迷が続き、年間を通して軟調な状況だった。
20年のコネクタ需要は、年初段階では年央から後半にかけて緩やかな回復が予想されていたが、年明け後の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が市場に大きな影響を与え、20年前半は自動車や設備関連を中心に大きく需要が落ち込んだ。
そうした中でも、コロナ禍に伴う需要減は、20年4-6月期に底入れし、夏場以降は徐々に回復していく。20年前半の落ち込みが深刻だった自動車関連の需要も、中国や米国がけん引する形で年後半は回復基調が続き、特に20年秋から年末にかけては顕著な回復を見せた。
加えて、巣ごもり需要によるノートPCやタブレット端末、ゲーム機需要の拡大や、堅調なスマートフォン需要、デジタルシフトに伴うデータセンター(DC)需要の増大なども、20年後半のコネクタ需要回復を支えた。
この結果、20年トータルでの世界のコネクタ市場は、20年春ごろの段階の予測に反し、前年比では比較的軽微のマイナスにとどまった見込み。21年も回復基調の継続が予測されている。
近年のコネクタ市場の成長を支えているのは、分野別では電子化・電動化が進む自動車や、高機能化が進むスマホなどの高機能端末、自動化・省人化ニーズを背景とした産業機器、デジタルシフトや情報通信の高度化を背景としたテレコム/データコム関連など。民生系では、ウエアラブル端末市場の成長も、小型・高性能コネクタの需要を押し上げている。
足元のコネクタ需要は20年後半以降、回復基調が続いている。特に、需要が堅調なスマホやノートPCなどのIT端末や、急速に生産が回復している自動車関連、DC、半導体製造装置関連などでの需要が好調に推移。これまで回復が遅れていたFA/工作機械/産業用ロボット向けなどの需要も底入れの兆しが見えている。
技術革新で活性化
コネクタの主要マーケットである自動車、産業機器、携帯端末、通信インフラといった産業分野では、いずれも大きな技術革新が進行している。こうした技術革新の進展が、今後もコネクタ需要を中長期で活性化していくことが予想されている。
多くのコネクタ企業がフォーカスする自動車は、ADAS/自動運転技術の高度化や電動化トレンドの加速が、新たな高付加価値コネクタの需要を創出していく。産業機器/ロボット関連では、AIやコネクテッドインダストリーなどをキーワードとした技術革新が、付加価値の高いコネクタの需要を押し上げる。5G基地局の導入拡大やDC需要の増加も、産機用コネクタ需要拡大を促進する。
コンシューマ系では、5Gスマホの普及やウエアラブル機器の成長が、コネクタ需要をけん引していくことが期待されている。
医療機器/ヘルスケア関連や、4K/8K放送システム、画像認識技術の高度化などに伴う需要増にも期待。
IT・エレクトロニクス技術が高度化し、多様な産業分野で電子化やネットワーク化、大容量高速伝送化が進展する中で、コネクタの重要性が一段と増していく。
コネクタ各社は、中長期視点に立った技術戦略やマーケティング戦略を強化することで、今後も継続的な成長を目指す。