2021.02.04 【ロボット用部品/二次電池特集】ロボット用部品 次世代ニーズ見据え開発強化 二次電池LIBや全固体電池の開発活発
産業機器用丸型防水コネクタ(日本航空電子工業)
FA機器・産業用ロボットは、電子部品・デバイス市場の中長期の成長を支える重要分野の一つとして注目されている。電子部品メーカー各社は、小型・高性能化やネットワーク化が進むFA機器・産業用ロボットでの次世代ニーズに対応した製品開発を強化している。二次電池は高機能モバイル端末や自動車、産業機器などの小型・高性能化に向けた技術革新が進み、特に近年は車載・産業用リチウムイオン電池(LIB)や全固体電池の実用化に向けた技術開発が加速している。
FA機器・産業ロボット用部品技術
モノづくりの高度化や自動化・省人化ニーズの強まりで、FA機器や産業用ロボットは今後も中長期の成長が期待される。コネクテッド・インダストリーやSociety5.0などをキーワードとした新潮流が製造装置/システムの付加価値を高め、新たな部品需要を生み出している。
ロボット向けセンサーには荷重検知用の圧力センサーや関節角度検出用のポジションセンサー、姿勢制御用のジャイロセンサー、加速度センサー、光学式センサーなどがあり、一層の高精度化や小型軽量化、耐振性などが求められている。センサーメーカーはMEMS技術やパッケージング技術を駆使し、汎用性に優れた高精度センサー開発を強化。超小型で高分解能の製品開発を追求する。
回路部品では、FA機器・産業用ロボットでは高精度で信頼性の高い制御技術が要求され、制御回路基板に使用されるコンデンサや抵抗器などにも高度な技術が求められる。効率よく制御回路を組み込むため回路基板の小型化が要求され、受動部品の小型・高性能化やモジュール化が重視される。誤動作防止のため、ノイズ対策や過電流・過電圧の保護デバイスも重要。電源まわりでは小型・低損失のインダクタ開発も活発だ。
接続部品では、インターフェイスコネクタは小型・堅牢・長寿命化などが重視される。加えて、スマートファクトリー化やIoT化により機器間通信の高速化や多機能化が強まり、一層の多極化や高性能化が求められている。丸型コネクタはワンタッチロック嵌合方式の防水丸型タイプなどの提案が進展。操作性に優れ経年変化によるねじ緩みも解消されるため、信頼性やメンテナンス性に貢献する。電源用は200/250A対応などの大容量化が進展している。
二次電池技術
二次電池は、スマートフォンやノートPCなどの民生機器から産業機器、自動車、定置型システムなど様々な用途に使用され、年々用途が拡大している。近年は、車の電動化進展により、車載用LIBの需要が拡大しているほか、鉄道車両などでも高性能LIBの実用化が始まっている。再生可能エネルギーの普及とともに、定置型蓄電池システムの需要も増大している。
二次電池技術は、低炭素社会の実現に向け、重要な鍵を握る。電動化トレンドが加速する自動車や、昨今の自然災害増加も背景として重要性が高まっている定置型蓄電池などの分野では、高エネルギー密度の次世代二次電池が要求され、これらに向けた技術開発が進んでいる。
最近は、固体電解質の使用で安全性に優れる全固体電池の技術開発も進展。全固体LIBは既に一部の民生用途などで小型SMDタイプが実用化されているが、二次電池各社は、本命とされる車載用全固体電池の技術開発を強化しており、2025年頃をメドとしたEV用全固体電池の実用化が志向されている。自動車やインフラ用途での燃料電池システムの技術開発も進む。
高性能な次世代二次電池の実現に向け、正・負極材やセパレータ、電解質などの二次電池用素材開発にも力が注がれている。二次電池モジュール用のパッケージ材料や保護ICなどの開発も進められている。