2021.02.18 【5G関連技術特集】 5G、本格普及段階にエレクトロニクス業界、技術開発を一段と強化
次世代高速通信用マルチRF対応基板対基板コネクタ(ヒロセ電機)
エレクトロニクス業界では、第5世代移動通信規格「5G」に照準を合わせた技術開発が活発化している。高速・大容量通信である5G通信は、今後、様々な産業にイノベーションをもたらすことが予想される。電子部品・半導体メーカーや計測器メーカーは、2021年を「5G本格普及元年」と位置付け、5G対応のインフラや端末を支える技術開発を一段と強化する。
5G通信は、超高度情報社会に向けた次世代通信方式。10Gbpsを超える通信速度や、現行のLTEの約1000倍の大容量化などが想定される。5G通信は、スマートフォン技術の進化にとどまらず、5G通信の本格普及を契機とした『ポスト5G』としての、さらなる多様なサービスへの波及も想定されている。5G技術は、自動車の自動運転技術高度化にも大きな役割を果たすとされる。
5Gの商用化は18年から米国や韓国などで先行的に法人向けサービスなどが開始され、19年には中国をはじめ、より多くの国が5Gサービスを開始した。そして20年3月後半以降、日本国内でも主要通信キャリアによる5G商用サービスが順次開始され、本格普及に向けた体制づくりが着々と進んでいる。「5G元年」とされた20年に対し、21年は「5G本格普及元年」と位置付けられている。
このため、電子部品・半導体メーカー、計測器メーカーなどでは、5Gに照準を合わせた先行開発を強化しており、高周波や高速大容量伝送に対応するためのデバイス開発や、5G端末/インフラ用測定器などの開発を活発化させている。5Gは同時多接続や低遅延の特徴を持つため、IoTの普及を促進させ、新たなアプリケーションを創出させることも期待される。
5G対応計測器技術
計測器メーカー各社は、5Gでの計測に最適な計測機器の開発・投入に力を入れている。5G通信端末や5G関連デバイスの開発・製造プロセス向けに、Sub-6GHz帯やミリ波帯に対応した最適な測定ソリューションを提供することで、業界標準の獲得を目指している。通信事業者向けのネットワークインフラ測定器では、5G通信事業者の超高性能低遅延に関する性能を保証するための小型高性能なテストソリューションを提供。将来の車載5Gに向けに、車車間ネットワークテストのための5G V2Xソリューション開発も進展している。
5G関連部品技術
5G基地局や5G端末に対応した電子部品の技術開発が活発化している。5G通信インフラ向けの高速伝送用部品や高速光コネクションなどの開発が活発化しているほか、5Gスマホ内蔵用部品、および5Gの実用化に伴う産業機器や自動車などの技術進化に照準を合わせ、回路部品や接続部品、センサー、アンテナなどの各種高性能部品の開発に力が注がれている。
回路部品は、小型かつ大容量化に対応し、耐熱性にも優れた積層セラミックコンデンサやアルミ電解コンデンサなどの開発が進展。抵抗器も低抵抗精度、抵抗温度計数、経年変化などに優れたチップ抵抗器などの開発が進んでいる。コネクタは、5Gスマホでの搭載アンテナ数増加などを視野に、Sub6対応製品などの開発が加速している。
ミリ波デバイス技術
5Gの本格実用化に向け、ミリ波帯対応デバイスの技術開発が進展している。ミリ波技術は、従来からミリ波レーダー(76GHz)などで実用化されてきたが、今後は5Gにより、情報通信分野でのメインストリームになることが見込まれる。半導体・高周波部品メーカーでは、5Gに照準を合わせ、28GHzや39GHzなどに向けたミリ波対応MMICやモジュールなどの開発に力を注いでいる。
業務用分野などでは、100GHz超に対応するデバイス開発も始まっている。