2021.03.05 【SMD特集】小型、高機能化加速5Gや車載など対応
容量式湿度センサー
SMT(表面実装技術)の高度化を背景に、チップ部品(SMD)の技術進化が続いている。第5世代高速通信規格5G用スマートフォンやIoT端末、自動車のECUや各種モジュールにおける高密度実装ニーズの高まりが、各種SMDの小型化、高機能化を加速させている。
SMDのグローバル需要は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で20年前半は低迷したが、6月ごろから製造業の生産活動が本格的に再開。これに伴い、SMDの生産も活発化し、特に秋以降は、当初の想定を上回るペースでの生産回復が続いた。堅調なスマホ需要や自動車生産の回復、さらには、テレワークやリモート授業拡大に伴うPC、タブレットの需要増や巣ごもり関連でのゲーム機需要などが、20年後半のSMD市場の回復を支えた。
足元の需要もスマホをはじめとするICT機器や、自動車向けなどを中心に堅調で、産業機器向けなども含め、今後も安定的な需要が期待されている。
SMD各社は、今後も機器の小型・高性能化に照準を合わせ、積極的な新製品開発を推進。拡大していく需要に対応するため、生産体制増強への動きも目立ち始めている。
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、車載向けに低損失、三端子、共振用、高耐熱、高電圧、大容量化に対応した開発が進展。長辺電極タイプ、金属キャップ端子、導電性接続端子タイプなどのラインアップ拡充が進んでいる。5G向けは、0402や0603サイズなどの超小型品の大容量化技術が進展。0201サイズでも、0.1マイクロFまで大容量化が進み、基板内蔵用では厚み0.064ミリメートルまで薄型化している。
アルミ電解コンデンサは、電解液タイプに加え、ポリマータイプ、ハイブリッドタイプの拡充が進む。ポリマー系は、車載と5G基地局向けの需要に対応する。
ハイブリッドコンデンサは、低ESRや高信頼性の高耐電圧を実現。新たに既存製チップタイプで、80V程度まで高耐圧化を実現する。さらに135度対応の高温度信頼性を確保した製品が開発され、ECUなどでの採用も本格化している。150度対応品なども投入された。
タンタルコンデンサは、タンタル粉末のCV積を大きくすることで、容量が飛躍的に拡大。小型化では、構造を一般的なモールド構造にすることで薄型化が追求され、厚み1ミリメートル内外まで薄型化技術が進んでいる。
抵抗器は、CASEや、5Gスマホ、IoTなどに照準を合わせた技術開発が活発化している。
5Gスマホ向けは、0603と0402サイズの需要が伸びる見通し。電源回路では電流検出用途で低抵抗チップが用いられ、中でも金属板タイプの需要が伸びている。最小サイズは1005サイズ。
モジュールでは、部品内蔵基板で小型化する動きも見られる。銅メッキ接続方式の場合は銅メッキ電極を形成した専用部品が必要で、チップ抵抗器では厚みが0.13ミリメートルまで極薄化している。小型モジュール向けに、次世代の0201サイズの提案も進む。
車載向けでは、電源周辺部の回路向けに硫化に強く硫化発生による抵抗値断線を防ぐために耐硫化チップ抵抗器が使用される。自動車エンジン制御回路のほか、各種ECUなどでは耐サージチップ抵抗器が搭載される。
インダクタも5Gや車載を中心に技術開発が進展。高周波用インダクタは、高Q化、高精度化と小型化の両立が要求されている。現在は0402サイズの高Q化技術が進展している。
電源用パワーインダクタは、フェライト巻線型、フェライト積層型のほか、メタル系パワーインダクタでの巻線、積層、さらには薄膜の3種がある。メタル積層チップパワーインダクタは、1005サイズ品が製品化されている。
車載用インダクタは、ECU用では125度対応から150度対応へと高温対応が変化。180度対応品も開発されている。
水晶デバイスは、5Gスマホ用超小型水晶振動子は、1210サイズから1008サイズへのシフトが進展。TCXO(温度補償型水晶発振器)などの小型化追求も進む。