2021.03.18 【九州・山口産業特集】DELIA台帳ベースのEMSを開発
中村 代表理事
DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、地産地消エネルギー管理システム(HyperDeMS)の環境を構築し、台帳ベースのエネルギーマネジメントシステム(EMS)の開発に18年から取り組んでいる。
化石燃料ゼロ目標の50年に向けて急激なEVシフトが始まり、カーボンニュートラルで再エネ導入が加速、電源構成に再エネが本格的に加わっている。
防災を含めたローカルな仮想発電所(VPP)へ、地域内で分散した蓄電池を統合制御し、全体でも地産地消エネルギーシステムとして稼働させることが想定される。この分散エネルギー制御と運営へ新たなEMSが必要となる。
DELIAで開発した「MicroChainPRO」は、ブロックチェーン技術を応用し、発電・電力需給・電池の充放電・消費など時間変化を記録するチェーン型台帳が情報のベースとなる。チェーン型台帳は暗号学的ハッシュタグによる改ざんしにくい形態で、台帳に書かれた予約事項を条件がそろい次第実行するスマートコントラクト機能を持ち、地域内の電力状態の記録でトレーサビリティを確保する。
実際に電気自動車(リーフ)とEVパワーステーション、屋根に設置した太陽電池と蓄電池内蔵のハイブリッドコンディショナ、スマートメーターで構成した最小単位の地産地消システム(マイクログリッド)で、東海地方で検証、データを収集しており、富山や福岡でも実施を考えている。
昨年12月の「ENEX2021」など展示会に出展してプライベートセミナーを実施。「ベースはできたので、大手企業とEMSを立ち上げる予定」(中村良道代表理事)という。今後はエネルギーもセキュリティが必要になってくるとみている。
台帳に記入されたデータはエネルギー制御やビジネスに活用可能で、21年度はDELIA初の商品として「MicroChain」の活用講習会を予定している。DELIAの活動としては、人材育成セミナーとその教材を作ることに力を入れていく。