2021.04.06 「プロダクトロニカチャイナ」盛況産業用ロボットの展示目立つ=上海
盛況だった「プロダクトロニカチャイナ2021」(上海)
中国の製造業が活況を呈する中、上海新国際見本市会場(SNIEC)で開催された製造装置展「プロダクトロニカチャイナ2021」(3月17~19日、主催=メッセミュンヘン)が、3日間で約7万7000人の来場者を数えるにぎわいを見せ、今後の需要拡大に弾みをつけた。
中国は政府の徹底したコロナ封じにより、製造業が昨年6月ごろから立ち直った。エレクトロニクス関連産業もEV(電気自動車)、第5世代高速通信規格5G、生産自動化ほか内需向けを中心に、現在はコロナ前を上回る生産が続いており、実装機をはじめ製造装置の需要も拡大している。
同展示会は毎年3月に開催されてきたが、昨年は新型コロナ感染の拡大で7月に延期された。
今年は国内外の735社が出展。日本からは加賀電子、島津製作所、JUKI、信越化学工業、東京ウエルズ、日本スペリア社、白光、パナソニック、FUJI、ファナック、武蔵エンジニアリング、ヤマハ発動機などが現地法人を通じて出展した。
中国のエレクトロニクス関連製造業ではスマート化、インテリジェント化の要求が高まっており、FUJI、ヤマハ発動機、JUKI、パナソニックなどがスマートファクトリー工場への実装を想定した最先端技術ソリューションの提案を行った。
FUJIは、次世代実装機「NXTR(ネクストアール)」を核に「FUJIスマートファクトリー」をアピールした。ヤマハ発動機は実装機、超高速高精細ハイエンド3D光学外観検査、部品保管庫など、1社でSMTラインがそろう「ワンストップソリューション」を訴求。マス商事など同社代理店も参加した。
JUKIは実装機RX-7Rをはじめ実装前後工程を含めた自動化の展示を行った。パナソニックもパネル展示を中心にスマートファクトリーを紹介。東京ウエルズは主力製品の外観検査装置TWA-4101を出品した。
海外勢ではドイツのKurtz Ersa社やYXLON社などが、スマートファクトリーのデモラインエリアで製造プロセスを再現。来場者の関心を集めた。
中国ロボット企業多数
生産自動化を背景に、会場では産業用ロボットの展示が目立った。ファナックやHIWIN(台湾)など海外主要メーカーのほか、Standard Robots(斯坦徳機器人、深圳)、ForwardX Robotics(霊動科技、北京)、SIASUN(新松、上海)といった現地の主要ロボット企業が数多く出展していた。
Standard Robotsは搬送ロボットメーカーで、AMR(自律移動ロボット)の制御アルゴリズムは世界トップレベルといわれる。THKインテックスが日本でも販売している。ForwardX Roboticsは協働型AMRを製造。SIASUNは中国最高レベルの科学技術機関「中国科学院」に所属するロボット総合メーカーだ。日本ではリョーサンが販売を始めている。会場では各社が国内外の製造装置企業と協業し、自動化システムとして提案するケースが目を引いた。
電子化学材料企業では信越化学工業のほか、HenkelやPanocol、WEVO-CHEMIE、DELO Industrial Adhesivesといったドイツ勢が多く出展。自動車や医療などの業界に向けて新しいディスペンシングや化学材料の技術・製品を訴求し、多くの革新的なソリューションを発表した。
信越化学工業は、中国で展開している浙江信越精細化工(シリコーン製品の製造・販売)、蘇州信越聚合(キーパッド、シリコーンゴム成形品、キャリアテープなどの製造・加工)、信越科技蘇州(VCMの製造・販売)など幅広い事業を紹介した。
従来併催されていた電子部品展「エレクトロニカチャイナ」は今月14~16日にSNIECで開かれる。