2021.04.15 【自動車用部品/コネクテッドカー関連技術特集】電子部品各社が新技術、新製品の開発強化CASEやMaaSなどのメガトレンドに対応
車載LAN-FD用コモンモードフィルター(TDK)
自動車の電子化・電動化に向けた車載用電子部品の技術開発が進んでいる。電子部品メーカー各社は、『CASE』や『MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)』などのメガトレンドに対応する新たな電子部品開発を強化。次世代移動通信規格5Gの車載適用に向けた先行開発にも力が注がれる。
現在の自動車市場は、「100年に1度」とされる大変革期を迎えている。電子部品・デバイス各社は、こうした車の技術進化や業界構造の変革に照準を合わせ、将来ニーズを先取りした車載用電子部品の先行開発を進めることで、次期スタンダードの獲得を目指す。
ADAS/自動運転関連技術
世界の自動車業界では、欧米系や日系メーカーを中心に、自動運転車(自動走行レベル3以上)の本格実用化に向けた開発が急ピッチで進んでいる。今年3月には、ホンダが世界初となるレベル3自動運転システム「ホンダ・センシング・エリート」を搭載した新型「レジェンド」を発表し、注目を集めた。今後も他の自動車メーカーからのレベル3車種の発表が加速することが予想される。
自動運転の実現には、信頼性の高い通信機能や高精度な物体認識、高度な車両制御、AI/エッジコンピューティングを含む情報処理、セーフティー技術、3次元地図データなど様々な技術の融合が必要。搭載部品には極めて高い信頼性が要求される。部品各社は、これらを実現するため、センサーや通信デバイス、撮像系部品、大容量高速伝送用部品などの高性能部品の開発を活発化させている。
安全系では、ミリ波レーダーや車車間/路車間/歩車間通信用のV2Xモジュール、LiDAR(ライダー)、高精細カメラなどの開発が進められている。
LiDARは、機械式に加えて、最近は小型化やコスト面で優位なMEMS式の開発・サンプル展開も本格化している。LiDARは一般道での自動運転に必須とされ、将来のレベル4実現のためのキーデバイスの一つと認識されている。
車載カメラは、車載センシングカメラ用の高画素カメラモジュールおよび関連部品の開発が進展。2メガピクセルなどの高画素化や、将来の5Gbpsの高速画像伝送などに対応するデバイス開発が進む。
xEV用部品技術
EV/PHVなどの電動車用では、1充電あたりの航続距離増大や電費向上に向け、車載リチウムイオン電池(LIB)や電気二重層キャパシター、LICなどの蓄電デバイスの開発が進展。インバーターやコンバーター、駆動モーターまわり向けに高電流・高耐圧対応部品の開発が進められている。
EVは、航続距離を延ばすため、車体軽量化が求められ、通常のガソリン車と比較し搭載部品への軽量化要求が極めて強い。こうしたニーズを満たすため、車載用電子部品・モジュールやケーブルハーネスなどの軽量化技術も追求されている。
コネクテッドカー技術
コネクテッドカーは、情報通信機能を備え、車両自体がIT端末としての機能を有する自動車を意味する。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーで取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。具体的には、事故発生時に自動的に緊急通報を行うシステムや、走行実績に応じて保険料が変動するテレマティクス保険、盗難時に車両の位置を追跡するシステムなどが実用化され始めている。
このため、電子部品各社は、コネクテッドカーの実現に向けた高性能センサーや無線通信デバイス、位置情報デバイス、警報音デバイスなどの開発を活発化させている。