2021.05.24 未来のエンジニアへ!村田製作所の体験施設「ムラーボ!」好評
ディスカバーゾーン
未来のエンジニア、科学者らを育てたい。そんな狙いで、村田製作所が横浜市に開いた子ども向け科学体験施設「Mulabo!(ムラーボ!)」が好評だ。「目に見える科学」をテーマに、遊びながら電気の基本を学べる体験型の展示や、科学技術関連の本を集めたカフェなどで構成。「科学」を通して「発見して考える」施設として、教育・文化の発展に寄与する狙いだ。
横浜・みなとみらい21地区に同社が開設した研究開発拠点「みなとみらいイノベーションセンター」の一角に、「ムラーボ!」はある。大きなビジョンの出迎えを受けた後、らせん状の階段で2階へ行く。壁には、エレクトロニクス製品や会社の歩みを年表仕立てのグラフィックにした展示が。つい読み込んでしまう。
2階中央はシンボルゾーン。その真ん中には丸いテーブル形の画面がある。家電から電車まで、様々な製品のどれかを画面で選ぶと、その製品で電気が果たしている役割がビジュアルに紹介される。エレクトロニクス製品が生活の様々な場面を支えていることがわかる。
天井には、エレクトロニクスのかけらをモチーフにした、樹脂製のアートがあしらわれている。シャンデリアのようにキラキラ輝く様子を子どもたちが見上げている。
メーンになるのは、体験展示の「ディスカバーゾーン」。専用の端末「Mulabo!ガイド」を使い、約1時間、楽しみながら様々な学びができる。端末貸し出しの事前予約が必要。新型コロナの感染防止のため、定員の上限を抑え、対策を徹底しつつ、ゆったりと楽しんでもらっているそうだ。
展示のあちこちにあるQRコードを端末で読み込むと、三択のクイズが出てくる。「コンデンサの役割は?」「テレビに初めて映し出された文字は?」といったテーマ。フレミングの法則など、大人が中学生時代をつい思い出すような問題もある。答えがわからないときは、展示の中にあるヒントを探す。様々な展示が自然と目に入る仕掛けになっている。
そんなクイズに答えていき、回答が進めば、ゲームの要素を入れた「体験」にチャレンジできる。体験の中の一つ、ドライビングゲーム仕立ての「エレクトロニクスサーキット」は、電子回路のサーキットを、デバイスを活用してパワーアップしたりしながら走る、という趣向。また、シューティングゲームのような「シグナルキャッチャー」は、ミリ波やマイクロ波など様々な電磁波をキャッチする、という設定だ。センシング技術などが使われている。
クイズや「体験」の結果がポイントで集計され、それぞれの結果とランキングが、自分でつけたニックネームでビジョンに出てくる。
ほかに、同社や提携企業の技術を使った体験展示もある。大人世代には懐かしい黒電話もあり、触ったことのない子どもたちが、興味津々でダイヤルを回している。展示やクイズはさまざまで、一度ではとうてい堪能しきれない。何度も訪問したくなるゾーンだ。
また、「シンクゾーン」と銘打ったコーナーは、ブックカフェの趣き。主に子ども向けの科学の本をそろえ、スイーツや飲み物を楽しみながら、お気に入りの本を読みふけることができる。「キッズコーナーがあるのもうれしい」と訪れた家族連れは話していた。
同社は2006年ごろから、自転車型ロボット「ムラタセイサク君」を使った出前授業や電子工作教室など地域貢献活動に取り組み、好評を得ている。「ムラーボ!」も、そうした活動の一環。一般消費者の間での認知度や好感度アップにつながることも期待している。
「STEM教育を通じた社会貢献が一番の目標。子どもたちが電気科学と出会い、面白さに気づき、将来のエンジニアが生まれるきっかけの場を提供したい」と、責任者の関口晴巳さんは言う。