2021.06.15 東芝総会対応は「調査しない」梶山経産相、政府関与の正当性主張

記者会見に臨む梶山弘志経済産業相=15日、東京都千代田区

 梶山弘志経済産業相は15日の閣議後記者会見で、東芝と経済産業省が連携して一部株主の議決権行使に影響を与えたとする外部弁護士の調査結果に触れ、同省として独自に調査しない考えを示した。国家の安全保障を左右する重要技術の開発を担うメーカーに関与する正当性も主張した。

 東芝が昨年7月に開いた定時株主総会について調査していた外部弁護士は10日、「公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた調査報告書を公表した。梶山氏は、報告書が東芝の株主総会に経産省が介入した疑いを指摘したことに触れ、「調査する予定もない」との考えを示した。

 東芝は、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業に協力するほか、量子暗号通信やレーダーなど安全保障に関わる技術の開発も手掛けている。

 梶山氏はこうした役割を担う東芝は「日本にとって重要な企業」と強調。さらに「国の安全確保やそれに欠かせない事業や技術の発達という大前提が損なわれる恐れがある場合には、それに関係する個別企業への対応を行うこともある」と力説した上で、政府による同社への関与は「当然のこと」だと主張した。

 報告書の内容については「事実関係に疑問を持たざるを得ない箇所もある」と批判。この中で指摘された経産省職員の守秘義務違反にも触れ、「職員の一つ一つの行動が守秘義務違反に当たるか否かを確認する必要はない」と述べた。

 コーポレートガバナンス(企業統治)を重視する観点から、「今後の東芝の対応を注視し、政府として必要な取り組みは検討したい」との考えも示した。