2021.07.01 【5G関連技術/電子機器保護用部品特集】5G向けの技術開発活発電子機器の高機能化で回路保護用部品が重要に
サーミスター内蔵水晶振動子76.8MHz(日本電波工業)
エレクトロニクス業界では、第5世代移動通信規格「5G」に照準を合わせた技術開発が活発化している。高速・大容量通信の5Gは、今後、さまざまな産業にイノベーションをもたらすと予想され、最近は車載5G向けのデバイス開発なども本格化してきた。一方、電子機器の高機能・高性能化に伴い、電子回路の安定化を確保する回路保護部品の重要性も高まっている。過電流、過電圧、静電気、雷サージ(ESD)から回路を保護するPTCサーミスター、NTCサーミスター、電流ヒューズ、サージアブソーバーのほか、EMI(電磁妨害)、EMC(電磁両立性)などのノイズ対策部品技術の高度化も進んでいる。
5G関連技術
5G通信は、超高度情報社会に向けた通信方式。5Gは、スマートフォンのハイエンド化促進に加え、5G通信の本格普及を契機とした「ポスト5G」としての、さらなる多様なサービスへの波及も想定されている。
電子部品・半導体や計測器メーカーでは5Gに照準を合わせ、高周波や高速大容量伝送対応のデバイス開発や、5G端末/インフラ用測定器などの開発を活発化させている。5Gは同時多接続や低遅延の特徴を持つため、IoTの普及を促進し、新たなアプリケーションを創出させることも期待される。
5G通信用部品では、5Gインフラ向けの高速伝送用部品や高速光コネクションなどの開発が活発化しているほか、高機能な5Gスマホ、および産業機器や自動車などの技術進化に照準を合わせ、回路部品や接続部品、センサー、アンテナなどの開発に力が注がれている。
回路部品は、小型かつ大容量化に対応し、耐熱性にも優れた積層セラミックコンデンサーやアルミ電解コンデンサーなどの開発が進展。抵抗器も低抵抗精度、抵抗温度係数、経年変化などに優れたチップ抵抗器などの開発が進む。コネクターは、5Gスマホでの搭載アンテナ数増加などを視野に、Sub6対応コネクターなどの開発が加速。スマホの高密度実装化に対応し、回路部品の極小チップ化や内部接続用コネクターの微細化も追求されている。
電子回路保護用部品技術
過電流保護用では、小型・薄型の要望に応え、温度の変化で抵抗値が変化することを利用したサーミスターにおいて、温度が上がると、ある温度を境に抵抗値が急激に上昇するPTCサーミスターで世界最小サイズとなる0603サイズ(0.6×0.6×0.3ミリメートル)のSMDタイプの量産が始まった。モバイル機器の異常や故障防止に貢献する。
温度が上がると抵抗値が下がるNTCサーミスターも温度補償、突入電流抑制などの用途で採用が広がり、スマホやリチウムイオン電池向けに需要が拡大している。温度検知の高精度化、熱応答性の向上とともに小型化が進み、0402サイズの超小型SMDタイプがスマホなどのモバイル機器に搭載されている。温度検知用NTCサーミスターでは、はんだ実装できない部品が搭載された基板用に、導電性接着剤対応品や、人の表面温度検知用などに絶縁樹脂モールドした絶縁パッケージ品が製品化されている。
SMDタイプの高電流マイクロヒューズは、電動工具、EバイクなどのLIB向けに需要が増加している。
過電圧保護用のサージアブソーバーでも、薄膜タイプでトリガー電圧1000Vの1005サイズ、1608サイズが量産され、従来のマイクロSDカードに加え、車載用に需要が広がっている。
ノイズ対策部品も、機器の高機能化や車の伝送化進展に伴い、ノイズ対策機能の向上とともに小型化要求が強まっており、車載電源ライン向けに、1608サイズチップフェライトビーズなどの量産が始まっている。