2021.08.26 【化学材料特集】JFEケミカルフェライト、負極材など様々な機能性材料を販売

「フェライトコア」

 JFEケミカルは、エレクトロニクス市場向けに、さまざまな機能性材料(フェライト、車載リチウムイオン電池〈LIB〉用負極材、精密化学品など)を製造販売している。

 フェライトは、JFEスチールの製鉄所で副産生成される酸化鉄を活用し、原料から製品までの一貫生産体制を整備。高純度酸化鉄の自社生産により、高品質のフェライトコアを安定供給している。

 今後は、EV/HEV/PHEVなどに搭載されるDC-DCコンバーターやインバーターなど、高特性が求められる車載市場への展開を強化するため、倉敷工場では今年度中に新規設備を立ち上げる。タイ工場と中国工場でも、車載市場向け製品の生産が順調に増加している。

 負極材事業は、同社が実質的にオンリーワン製品と自負するハードカーボン負極材と、コスト競争力の高いニードルコークス系負極材(中国宝武炭材との合弁事業)を基軸に事業拡大を図っていく。

 ハードカーボン負極材については、既に車載LIB向けに採用され、売り上げが拡大している。さらにAPB社の次世代電池「全樹脂電池」への採用が決まっており、同社への出資も行い、事業拡大支援と自社のハードカーボン売り上げ拡大を目指す。

 そのほか、新たな被覆天然黒鉛系負極材の開発にも注力しており、今後大きな需要が期待される車載LIB向けビジネスを大きく拡大させていく方針。

 精密化学品の基盤事業は製鉄副産生成物コールタール中の希少成分の有効利用。インデン誘導体やフルオレン誘導体は光学樹脂、レジスト材料向けに高い供給実績を持つ。

 さらに、芳香族化合物を活用した事業領域拡大に努めている。ポリイミド材料では、原料からポリイミド前駆体のワニスまで対応できる体制を取り、電子基板、複写機用ベルト、電池セパレーター向けに展開する。

 アセナフチレンや特殊フェノール樹脂などは樹脂改質材として、高耐熱性と低誘電損失が求められる第5世代移動通信規格5G、EVなどの最先端分野向けに、積極的な開発とアピールを進める。