2021.08.26 【化学材料特集】中興化成工業低伝送損失のフッ素樹脂製品強化

「xCCF-500」

 中興化成工業は、フッ素樹脂(PTFE)などの高機能樹脂の総合加工メーカー。同社はエレクトロニクス用途向けに、高速・大容量通信に適した低伝送損失のフッ素樹脂製品の提案を強化している。

 フッ素樹脂基板「チューコーフロー銅張積層板」は、市場で求められる誘電率、誘電正接に合わせて、豊富な製品ラインアップをそろえており、基地局用アンテナやVSATなどでの使用が可能。新たにRz=1.0マイクロメートルの銅箔を用い、フッ素樹脂との密着性を持たせた製品を開発した。低誘電正接も実現しており、伝送損失のさらなる低減に貢献する。

 開発中の「チューコーフロー銅張積層板 xCH3008B」は、フッ素樹脂含侵ガラスクロスのミリ波対応銅張積層板。ミリ波レーダー用途などをターゲットに開発を進めている製品で、低誘電率、ミリ波帯での伝送損失が極めて小さい製品。引き剝がし強度は平均1.30kN/mと極めて高い。比誘電率は平均3.10、誘電正接は平均0.00093。低吸水性にも優れる。

 開発中のフレキシブルなフッ素樹脂銅張積層板「チューコーフロー銅張積層板 xCCF-500」は、誘電正接に優れる充塡(じゅうてん)材含有フッ素樹脂フィルムの銅張積層板。超低粗度箔を用いて両面銅張している。柔軟性に優れ、引き剝がし強度は1.4kN/m、線膨張係数を低く抑えた。第5世代移動通信規格5Gスマートフォンなど、5G通信端末用アンテナ用途などに提案する。

 フッ素樹脂は蛍石由来の樹脂材料。特性は、非常にタフな材料で、耐熱性や耐薬品性に優れる。プラス260度までの高温からマイナス180度などの低温でも変質しない。電気絶縁性や誘電特性、滑り特性、耐候性などの特徴も併せ持つ。一方で、加工が非常に難しい材料でもある。

 同社は1963年に設立され、創業以来、長年フッ素樹脂加工での課題解決に取り組んできた。高度な加工技術を強みに一品一様で顧客の要望に合わせた加工を行う。恒久建築物用のフッ素樹脂膜材をはじめ粘着テープ、ベルト、銅張積層板、チューブ、チューブ加工品、射出成形品、フィルム、PTFE特殊加工品など、さまざまなフッ素樹脂加工製品を供給する。