2021.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】各社アンケート 電波新聞社まとめ

 電波新聞社はこのほど、主要ソリューションプロバイダー各社に2021年後半の市場の見通し、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の取り組み、海外展開、働き方改革についてアンケート調査を実施し方向性を探った。アンケートは毎年、新年と夏の2回行っているもので、各社の景況感の見方と施策、成果を定点観測している。今回は21年8月10日から8月27日まで実施し、36社から有効回答を得た。

新型コロナの影響、回答二分

 21年も新型コロナウイルスの感染拡大は収まっていないが、ICT関連市場の投資は堅調でデジタル関連を中心に増加する企業も多い。

 アンケートの結果を見ても21年後半の受注見通しは悪くなく、4~6月は半数近くが「増加」を選択。直近7~9月は「増加」の割合が減るものの、10月以降は緩やかに受注が回復しそうで、22年1月以降は「増加」が半数以上を占め、緩やかに受注が拡大していく見通しだ。

 業種別の受注見通しは、各業種とも「前年並み」が半数を占めたが、製造、通信、公共は「増加」の回答が4割を超えた。製造はデジタル化の実現に向けシステム刷新の案件が増えているほか、公共も9月のデジタル庁発足を受けた期待がありそうだ。流通業は「減少」「大幅減少」の回答も他業種と比べて多かった。

 市場の見通しについては「緩やかに成長し続ける」との回答が前回調査の39%から64%とさらに拡大した。現状はマイナスで逆に21年から22年にかけて成長するとみるところも1割強あったが、全体的に22年以降は成長に転じていくとの見方が強そうだ。

 今回初めて、新型コロナウイルスの影響について聞いた。それによると回答は二分し、全体では47%がコロナの影響がプラスに働いた半面、同じく47%がコロナの影響がマイナスに働いていた。

 21年後半に伸びる分野は、前回調査と同様に「クラウド」がトップだったが、前回3位の「セキュリティ」が2位に、前回4位の「IoT」が3位になった。前回2位の「AI」は4位に順位を落とした。前回調査で大きく期待されていた「RPA」と「5G関連」は選択した企業が半減。「ビッグデータ対応」や「BCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)」も回答数が下がった。その他回答ではニューノーマル対応や働き方改革などを挙げたところもあった。

 21年後半の重点施策は、前回から続き「働き方改革の取り組み」が1位となった。前回順位を落とした「クラウドコンピューティング事業の取り組み」が再び2位に浮上、毎回上位に来ていた「サービス事業へのシフト」は回答数を減らした。前回同様に「セキュリティの強化」「AI関連の取り組み」は引き続き重点分野として挙げられた。今回はデジタルマーケティングやマネージメントサービスの取り組みの回答数が増えたほか、BI/BAの回答も大きく増えた。

DX取り組み「クラウド」が最多

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについては、提供している企業は92%(前回85%)となり、引き続き大半の企業が取り組んでいることが分かった。DX関連のサービスでは「クラウド」が最も多く、「AIを組み込んだシステムやサービス」と「IoT」が前回同様に高かった。一方、「モバイル」は減少した。

 DX関連の売り上げ状況は「伸びている」と回答した企業が大半を占めた。半面で各分野とも売り上げが伸びていないという回答も一定数あり、IoTやAIは売り上げにつながっていない回答が引き続き多かった。現在取り組んでいないが今後取り組みたいサービスでは「AI」「ビッグデータ関連サービス」を挙げた企業が多かった。

働き方改革の効果は出ている

 働き方改革については、全社が取り組みを進めていた。19年から施行された働き方改革関連法に加え、コロナ禍で一気に取り組みが加速していることも背景にある。

 働き方改革の取り組み内容については、前回同様「テレワーク」がトップ。「人事制度の見直し」「AI、RPAの導入による作業の削減」と続いた。そのほかの回答では「ダイバーシティの推進」「副業・兼業制度」などを挙げたところがあった。

 働き方改革の効果については100%が「出ている」(前回95%)と回答した。

 具体的な効果については「生産性が上がった」(前回3位)がトップで、「残業が減った」(前回1位)が次に多く、「社員満足度が上がった」(前回2位)と続いた。

 そのほか「コロナ対策として効果あり」「リモートワークの拡大」といった回答もあった。

今後期待できる地域は「北米」

 グローバルに関しては「海外展開している」と回答した企業が67%(前回62%)で撤退したところも3%あった。海外事業の多くは営業拠点の開設とオフショアで、両方を展開しているところもある。海外売上高比率は「0~3%未満」の企業が最も多く42%で前回から大きく変化はない。次いで「7~9%未満」「13~15%未満」となった。

 海外売上高については「増えている」との回答が37%(前回25%)となった。前回は「減っている」との回答が13%あったが、今回は減っているとの回答がなかった。

 海外展開をしていない企業については、引き続き展開する予定のない企業は55%で、未定と回答した企業が45%あった。

 今後期待できる地域については、前回までトップだったベトナムが3位になり、トップは「北米」に。2位は「インド」だった。前回多かった「タイ」や「中国」の回答数が減ったほか、「フィリピン」の回答数も減っていた。コロナの拡大なども影響しているとみられる。

アンケート回答企業一覧 ▽アイティフォー▽伊藤忠テクノソリューションズ▽インターコム▽内田洋行▽SCSK▽NEC▽NECソリューションイノベータ▽NECネクサソリューションズ▽NECネッツエスアイ▽NECプラットフォームズ▽大塚商会▽コア▽サイボウズ▽シーイーシー▽Dynabook▽電通国際情報サービス▽東芝ITサービス▽東芝デジタルソリューションズ▽日本システムウエア▽日本事務器▽日立製作所▽日立システムズ▽日立ソリューションズ▽日立ソリューションズ・クリエイト▽ビジネスエンジニアリング▽富士通▽富士通コミュニケーションサービス▽三菱電機インフォメーションシステムズ▽ユニリタ他7社、計36社