2021.12.03 【5Gがくる】ローカル5G簡単解説<67>北欧に学ぶローカル5G導入障壁の突破方法③

 「2021年世界幸福度報告書」の幸福度ランキングで、フィンランドが4年連続の1位になった。2位はデンマーク。このほかアイスランドが4位、ノルウェーは6位、スウェーデンは7位で北欧が上位を占めている。ちなみにアメリカは19位、日本は56位だ。

教育費が無料

 フィンランドにおける幸福度の高さの要因に生活の満足度とともに教育がある。特に教育は世界的にも注目されており、大きな特徴に教育費が無料であることが挙げられる。

 プレスクール(就学前教育学校)から基礎教育学校(9年間の義務教育)、高等学校、大学、大学院までの教育費が全て無料となっている。さらに教材費や給食費、通学の交通費までも無償というから驚く。

 16年からは義務教育として、プログラミング教育も必修となっている。

 基礎教育学校の1、2年生ではプログラミングの基礎となる「ロジカルシンキング(論理思考)」を学び、3~6年生では「scratch(スクラッチ)」と呼ばれる子ども向けのビジュアルプログラミング言語を学び、7~9年生(日本の中学1~3年生)では一般的なプログラミング言語を学ぶらしい。

 もちろん教科書はデジタル化され、どの学校でも構内の至るところにWi-Fiが完備されているので、一人に1台配布されたノートパソコンやタブレットを活用して、好きな場所で自由にセルフスタディーやグループワークに取り組むことができるという。

 そのため校舎や教室のレイアウトが変化し、ユニークな机や椅子をあちこちに配置している学校も増えていると聞く。

 さて、このフィンランド教育にローカル5G導入の障壁「教育と理解」を突破する方法を見いだしたい。

 筆者が注目したのは、いきなりテキストで記述するプログラム言語を学ぶのではなく、視覚的なオブジェクトをフローチャートのように組み合わせてプログラミングするスクラッチと、その前に論理思考を学ぶことだ。

 例えば、中小企業を含む工場の経営者にローカル5Gを紹介する際、サブ6やミリ波の電波伝播(でんぱ)特性や電波干渉の話から始めていないだろうか。

 もちろんローカル5G免許の取得に必要となる知識ではあるのだが、いきなり無線通信工学から始めるのは、小学校1年生にPython(パイソン=人工知能の開発などで注目されているプログラミング言語)を教えるようなもの。最初から機械工学には無縁の、見えない電波のことを専門用語で捲し立てられても彼らにとっては馬耳東風に違いない。

 ローカル5Gを活用した生産プロセス変革の流れをスクラッチのように視覚的に説明できれば分かりやすいと思う。

 その前に、なぜローカル5Gが必要なのか。

ローカル5Gを活用した生産プロセス変革の流れ

「論理思考」で説明

 工場の課題から解決までの論理思考を踏まえた説明が必要なのではないだろうか。(つづく)

 〈筆者=モバイルコンピューティング推進コンソーシアム上席顧問。グローバルベンチャー協会理事。国士舘大学非常勤講師・竹井俊文氏〉